縦型動画とは、スマートフォンの向きを変えることなく片手でフルサイズ視聴できる動画のことです。 縦型動画をSNSでうまく活用すれば、従来の横型よりもさらに注目度を上げることができます。 横型動画と違い、スマートフォンでの視聴を前提とした動画のトレンドとなっています。 本記事では、縦型動画の基礎知識やメリット、従来の横型動画との違い、自社制作する場合の方法について解説します。 この記事を読めば、縦型動画はどういうものなのか、自社がやるべきかどうか、やる場合はどのように作成し活用すればいいか、しっかりわかります。

縦型動画とは縦向き再生に特化した動画

「縦型動画」とは、スマートフォンの向きを変えることなく、フルスクリーンで再生できる動画のことです。

縦型動画とは縦向き再生に特化した動画縦型動画と横型動画の違い縦型動画の3つのメリット視聴率が上がりやすいフルスクリーンで注目度がアップしやすいSNSとも相性がいい縦型動画を活用している企業の事例6つ事例1.製薬会社「ロート製薬」事例2.ピザチェーン店「ドミノ・ピザ」事例3.人材会社「マイナビ転職【公式】」の事例事例4.アパレルブランド「Heather」の事例事例5.式場のクチコミサイト「ウエディングパーク」の事例事例6.不動産会社「株式会社シティホーム」の事例縦型動画を作成するための方法自作で縦型動画を制作する方法制作会社に依頼する方法縦型動画で再生回数を稼ぐためのポイント3つ冒頭5秒でインパクトを与える重要な情報だけ動画内にまとめる動画内で注目してほしい箇所を統一するまとめ

TikTokやInstagramなど、さまざまなSNSで投稿可能です。 縦横のアスペクト比は、YouTubeなどの横型動画が16:9であるのに対し「9:16」となっています。 ▼左側が横型、右側が縦型 急速に縦型動画の需要が増えている背景には、主に2つの要因が考えられます。

スマートフォンの普及縦型動画用のプラットフォームやアプリの増加

まず一つ目の要因として、スマートフォンの普及が挙げられます。 横型動画をスマホでフルスクリーンで視聴したい場合、スマートフォンを横向きにする必要がありますが、初めから動画が縦型フルサイズであれば、いちいち横向きにすることなく楽に動画視聴できるからです。 もう一つは、縦型動画のプラットフォームやアプリが増えたこともあります。 若年層を中心に人気の動画投稿アプリ「Tik Tok」をはじめ、画像や動画を投稿すると24時間で消える「Instagram Stories」「Facebookストーリー」、写真共有アプリ「Snapchat」などでも縦型が採用されています。

縦型動画と横型動画の違い

縦型と横型では、それぞれどのような特徴があるのか具体的に見ていきましょう。 ▼縦型動画と横型動画の比較表 縦型動画は、先に述べたとおりスマートフォンでの視聴を前提としています。 また、ユーザーはさまざまな場所で片手で視聴できるため、人物やモノにフォーカスしたコンテンツを発信したい場合に多く利用されています。 再生時間はYouTubeショートやTikTokのように、1分以内の短いものが多く、移動中などの空き時間での利用が好まれる傾向にあります。 一方横型動画は、テレビやパソコンでの視聴に向いています。 視界が左右に広がるため、風景や全体の背景、ダイナミックさを表現する場合が多いです。 再生時間は、YouTubeやNetflixなどのドラマなど、2分以上の比較的長い動画が多いのが特徴となっています。

縦型動画の3つのメリット

ここからは、より実務で役立つ知識をご紹介します。 縦型動画には3つのメリットがあります。

視聴率が上がりやすいフルスクリーンで注目度がアップしやすいSNSとも相性がいい

順に解説していきます。

視聴率が上がりやすい

1つ目のメリットは「視聴率が上がりやすい」ことです。 縦型動画の場合、ユーザーはスマートフォンを片手に縦に持ったまま視聴することが可能です。 多くのユーザーはスマートフォンを縦向きで操作するため、動画を視聴するためにスマートフォンの向きを横に変えて表示するわずらわしさがありません。 そのため必然的に視聴率アップにつながりやすいです。 米国の一般誌『USA Today』の調査によると、実際に動画を最後まで視聴した人の割合を表す完全視聴率は、横型より縦型の動画のほうが約9倍高くなっています。 参考:Vertical video pays off for Snapchat|USA TODAY

フルスクリーンで注目度がアップしやすい

2つ目のメリットは「フルスクリーンで注目度がアップしやすい」ことです。 縦型動画では、スマートフォンをフルスクリーンで再生することができます。 そのため、物理的な表示面積は横型動画の約3倍アップします。 感覚的にも、コンテンツへの「没入感」を得やすくなるのもポイントです。 実際、スマートフォンで映画・ドラマを視聴できる動画配信サービスも増えています。

SNSとも相性がいい

3つ目のメリットは「SNSとも相性がいい」ことです。 先述のように、最近は縦型に対応したSNSが増えています。 縦型動画に対応しているSNSは以下のとおりです。

TikTok

「TikTok」は、若年層を中心に支持されているショートムービープラットフォームで、縦型動画に対応した人気アプリです。 TikTokでは、15秒、30秒、3分(一部ユーザーのみ)の長さの縦型のショート動画の投稿が設定できます。 飽きることなく次々に閲覧してしまう楽しさがあり、没入感が高いことが特徴です。

Instagram

「Instagram」は、全世界で月間10億人以上が利用(※1)、国内でも3300万人以上が利用(※2)しているアプリで、縦型動画に対応しています。 参考:Instagram、縦型の長尺動画を楽しめるアプリ「IGTV」を発表|Meta 参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破| Meta Instagram内で縦型動画を表示できる機能としては、ストーリーズ(15秒)、リール(30秒)、IGTV(15分)の3種類があります。 アスペクト比は1.91:1~4:5と画像と同じサイズで投稿が可能です。

YouTube

通常のYouTubeの動画であれば横型(16:9)でフルスクリーン表示になりますが、ショート動画機能「Shorts」であれば、縦型(9:16)に対応しています。 このShortsはTikTokやInstagramのリールと同様に最大60秒の投稿が可能となっています。 YouTubeで縦型のショート動画を配信するメリットは2つです。

チャンネル登録者を増やすきっかけになる短い編集時間で数を打つことができる

5G普及の影響で、YouTubeチャンネルは、参入者が多くなり、既に市場が飽和しつつあります。 縦型のショート動画を従来のYouTube内の自社コンテンツやチャンネル登録へのフックととらえて活用するのも手です。

縦型動画を活用している企業の事例6つ

縦型動画は、アパレル、飲食店などさまざまな業界のSNSで活用されています。 次に、具体的な事例を6つ紹介します。

事例1.製薬会社「ロート製薬」

まず紹介するのは、商品の使い方や、人気のTikTokクリエイターとのコラボ動画でユーザーに親近感を持たせている「ロート製薬」のTikTok動画の事例です。 若い世代、いわゆるZ世代が注目するインフルエンサーや、人気のTikTokクリエイターの音源を起用した遊び心あるコンテンツを多数投稿しています。

事例2.ピザチェーン店「ドミノ・ピザ」

次の事例は、広告には見えないクリエイティブで高い評価を得ている、宅配ピザチェーン店「ドミノ・ピザ」の事例です。 上記は約5万いいねがついている、ピザの作り方動画です。 ユーザーの疑問への回答を動画コンテンツにして回答したり、フレンドリーなコメント投稿をしたりと積極的なコミュニケーションを図って親近感を出しているのがポイントです。 そのほか、人気インフルエンサーの世界観を生かしたコラボ動画を積極的にアップしています。 流行りのBGMやエフェクトに合わせて編集したり、一人で食べるよりみんなでシェアして食べたいと思わせるような「シーン」を訴求したりすることで、ユーザーが親近感を持てる内容になっています。

事例3.人材会社「マイナビ転職【公式】」の事例

次は、仕事にまつわる「あるある」ネタ動画を投稿し、再生回数を獲得している「マイナビ転職」のYouTubeショートの活用事例です。 マイナビ転職は、就職・転職・進学情報の提供や人材紹介などを行う、大手人材紹介企業・株式会社マイナビが運営するサービスです。 「あるある」ネタは、ユーザーの共感を獲得しやすく、SNSでは人気が高い傾向があります。 上記に挙げた動画の再生回数も約2万回のヒットコンテンツとなっています。 通常のYouTube動画は、内容をしっかり観る時間が必要ですが、60秒以内のショート動画であれば内容が凝縮されているため、サクサクと動画を流し見しやすいのが特徴です。 人材紹介の企業でも、このようにエンタメ感ある内容の縦型動画を投稿すれば、多くのユーザーから視聴してもらいやすくなります。

事例4.アパレルブランド「Heather」の事例

次は、Instagramのストーリーズの「IGTV」で縦型のショートドラマを投稿し、ブランドの認知獲得を狙ったアパレルブランド「Heather」の事例です。 「Heather」は、株式会社アダストリアが展開する、20代がターゲットのレディースアパレルブランドです。 Instagram内の動画は15秒〜1分以内ですが、IGTVであれば最長60分までの動画が投稿可能という特性を生かし、ドラマ化しています。 「前向きな女の子を応援する」というHeatherのブランドコンセプトをストーリーとして具現化し、ブランドの認知獲得につなげている好事例です。 なお、公式YouTubeチャンネル内にも同じコンテンツを投稿しており、YouTubeユーザーとの相関性を図っています。

事例5.式場のクチコミサイト「ウエディングパーク」の事例

YouTubeで映像作品を掲載することで、ブランドの世界観とメッセージ性を高めている「ウェディングパーク」の事例です。 「ウェディングパーク」は、式場探しなどブライダルに関するクチコミサイトです。 YouTubeで「結婚式の1週間前の花嫁が過ごす一日」をテーマにした約2分間の映像作品を投稿しています。 縦長動画にすることで、実際に花嫁や友人がスマートフォンで撮影した動画のように見せるのがねらいです。 全体的に柔らかさのあるかわいらしい世界観でまとめられており、人物の表情からも幸福感が溢れるエモーショナルな仕上がりになっています。

事例6.不動産会社「株式会社シティホーム」の事例

最後は、ユーザー目線で役立つ情報をTikTok動画でわかりやすく伝えている不動産会社「株式会社シティホーム」の事例です。 同社が取り扱う大阪府内の物件を動画にして、くわしく紹介しています。 まるでバーチャル内覧できるかのようなスケール感と玄関から入ってお風呂やキッチンといった水回り、リビングの様子、収納などユーザー目線で確認できるところがポイントです。 ひとつの動画につき1物件紹介しており、物件の中身だけでなく家賃や周辺環境も含めて気になる情報が凝縮されています。 ユーザーは、短い時間で気になる物件を次々にチェックすることができます。

縦型動画を作成するための方法

このようにさまざまなメリットがある縦型動画ですが、実際に制作するにはどうすればよいのでしょうか。 以下の2つのパターンをそれぞれ紹介します。

自作で縦型動画を制作する方法制作会社に依頼する方法

自作で縦型動画を制作する方法

制作会社に頼らずまず自分で作ってみたい方は、以下の4つのステップを踏んでみてください。

STEP1.スマホもしくはカメラで撮影

縦型動画を撮る場合、撮影機材をスマートフォンにするのであれば「縦向き」で撮影しましょう。 一眼カメラで撮る場合は、カメラ本体を「縦向き」にするか、横向きで撮影して編集する際にアスペクト比を「9:16」にリサイズする必要があるので注意してください。

STEP2.動画編集ツールをダウンロード

次に、縦型動画用に編集できるツールをダウンロードします。 もしスマホを縦向きにして撮影した場合、リサイズの必要はありません。 しかし横向きで撮影した場合、動画編集ツールをダウンロードしてリサイズする必要があるので注意してください。 基本的にどの動画制作用アプリでも縦型にリサイズが可能ですが、リサイズ以外の編集(シーンのカットやBGMなど)が必要となる場合は、以下の基準でツールを選択しましょう。

有料ツールか4Kに対応しているか掲載媒体に対応している動画が作れるか

参考:ビジネス用の動画作成ツールの選び方とおすすめツール厳選51選 | LISKUL

STEP3.動画の比率を変更

横向きで撮影した動画を縦型に対応させるためには、フレームサイズを縦1920×横1080ピクセルに、もしくはアスペクト比を「9:16」に変更する必要があります。 参考:縦型動画広告の特徴やメリット、活用するときに意識すべきポイントを解説

STEP4.上下の見切れている部分を修正する

横向きで撮影した動画を縦型に変更すると、無料版の編集ソフトを使った場合だと上下に余白ができてしまいます。 上下の見切れている部分を修正する対処法としては、以下の3つが挙げられます。 くわしい作業方法は、以下を確認してみてください。 参考:CapCut(キャップカット)で縦画面にする方法&やり方を解説!【縦動画】 以上の4つのステップを踏めば、縦型動画を制作することができます。

制作会社に依頼する方法

社内で動画制作に関するリソースがない、あるいは縦型動画のクオリティを高めたいなどの場合は、動画制作会社に依頼するのがおすすめです。 制作会社を選ぶ際にチェックすべきポイントは、以下の4つです。

縦型動画の制作実績の豊富さ企画提案力希望納期・納品数の承諾納品データの保管対応

縦型動画の制作実の豊富さ

動画制作会社としての実績をチェックしましょう。 Web上で制作実績を公開している場合は、必ず確認をしてください。 そのなかで、縦型動画の制作実績が豊富であるかを確認します。 「制作実績数」「デザインや訴求力」「制作したい動画と同じジャンルの制作実績があるかどうか」も見極めることも重要です。

企画・提案力

意向や要望を汲み取って企画を提案してくれる制作会社であるかどうかの見極めも重要です。 ターゲットに対して訴求力のある動画を制作するには、初期段階での企画が肝心です。 コンセプトや課題は明確であっても、動画として具体的にどのように表現するのがよいかわからないという場合があります。 仕上がりのイメージ、予算など、こちら側の要望を明確に伝えて認識をすり合わせ、企画提案してくれる会社を選んでください。

希望納期・納品数の承諾

いつまでにどれくらいのデータが欲しいのかを明確にし、希望に合わせてもらえるか確認しましょう。 スムーズな制作を実現するためには、窓口となる担当者が信頼できそうか、進行管理体制が整っているかを見極めることも重要です。

納品データの保管対応

納品後に修正しなければならないケースもあるため、制作会社側でも納品データを保管してもらえるか確認しましょう。 データがなくなってしまって全く修正ができないという事態を避けるために、データを保管してもらえるか確認することも重要です。 また保管期間についても必ず聞くようにしてください。 参考:動画制作・映像制作会社を選ぶ4つのポイント!おすすめ38社の特徴・実績・費用など徹底比較 | LISKUL

縦型動画で再生回数を稼ぐためのポイント3つ

縦型動画はアップロードすればいいわけではなく、再生回数を稼ぐためには工夫が必要です。 縦型動画で再生回数を稼ぐために気をつけたいこととして、以下の3つを押さえておきましょう。

冒頭5秒でインパクトを与える重要な情報だけ動画内にまとめる動画内で注目してほしい場所を統一する

冒頭5秒でインパクトを与える

動画を最後まで観てもらえるかどうかは「冒頭の5秒」で決まるため、この5秒以内でいかにインパクトを与え、ユーザーを惹きつけるかが非常に重要です。 Yahoo!JAPANでは、スマートフォン版Yahoo! JAPANトップページのファーストビューの平均滞在時間は5〜6秒であり、この時間内に重要な情報を打ち出すことが重要としています。 冒頭5秒間に情報量を多めに伝える、あるいは最も伝えたいメッセージをあっと驚くようなキャッチコピーでテキストで打ち出すのも手です。 視覚的にターゲット層を明示すれば、最後まで見てもらいやすくなります。 参考:Yahoo! JAPANが考える「動画広告」の4原則|Yahoo! JAPANマーケティングソリューション

重要な情報だけ動画内にまとめる

縦型動画は60秒までの短尺なので、重要な情報だけをまとめてコンパクトに伝達するのがポイントです。 テレビCMの長さは一般的に15秒なので「縦型動画=テレビCM」と考えるとイメージしやすくなります。 CMの役割は、主にユーザーの興味喚起です。 縦型動画で商材を訴求する場合やよりくわしい内容を伝えたい場合、縦型動画でインパクトを与えるなどで興味を持ってもらい、WebサイトやYouTubeの長尺動画へ誘導することを意識しましょう。

動画内で注目してほしい箇所を統一する

縦型動画がスマートフォンに表示された時に、画面上のどこに注目してもらうのかを統一しておくことが重要です。 例えば、画面上部にテキストを入れ、さらに画面下部に誘導させたいテキストを入れてしまっている場合、ユーザーの目線が上下に散らばってしまい、結局何の印象も残らないまま終わってしまうのです。 表示画面上の上部なのか、中央なのか、下部なのか、あるいは上部から下部に向けて視線を誘導するのかの流れも考えるとよいでしょう。

まとめ

縦型動画とは「縦向き再生に特化した動画」のことで、メリットは以下の3つです。

視聴率が上がりやすいフルスクリーンで注目度がアップしやすいSNSとも相性がいい

また、従来の横型動画と違ってスマートフォンで視聴しやすいため、人物やモノにフォーカスしたコンテンツを発信したい場合に多く利用されており、再生時間が短いことがポイントです。 縦型動画をSNSでうまく活用すれば、従来の横型よりもさらに注目度を上げることができます。 どんなに手間をかけて制作した動画であっても、見てもらえなければ意味がありません。 そのためには、狙ったユーザーに届きやすい環境を選ぶことが重要です。 今まで横型しか配信していなかった、という方も、ぜひ縦型動画を検討してみてください。

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