今回は、NPSの意味や活用場面、メリット・デメリットなどについて詳しく解説し、活用事例もご紹介します。 よく似た概念で使われる「顧客満足度」との違いも解説しているので、NPSを利用して売上につなげたいと考えている方は、ぜひご一読ください。

NPSとは

NPS(Net Promoter Score)とは、企業や商品にどれだけ愛着があるか(顧客ロイヤルティ)を数値化した指標です。

NPSとはNPSと顧客満足度との違いNPSの計算方法業界ごとのNPS平均・ランキングトップNPSのメリット・デメリットNPSのメリットNPSのデメリットNPSの活用事例高級ホテル湘南美容クリニック(SBCメディカルグループ)NPS専門サービスでは何ができるのかコンサルつきのNPSサービスツール導入によるNPSサービスまとめ参考にしたサイト

Webサービスを使っていると、以下のようなアンケートを見たことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 NPSでは、「自社サービスをどれくらい他の人に薦める可能性があるのか」を、ユーザーに0~10の点数で回答してもらい、顧客ロイヤルティを可視化します。 現在では、欧米の売上が高い企業(フォーチュン500)の3分の1以上がNPSを活用しており、サービス・商品を改善・改良しています。 参考: 米国では主流のロイヤルティ指標 “NPS” 日本では、いまだ72パーセントが「知らない」CSとの違いとは? | BACKYARD

NPSと顧客満足度との違い

NPSと顧客満足度との最も大きな違いは、アンケート結果がその後の企業成長率と相関関係にあるかどうかです。 NPSでは良い結果が出ると、その後の企業成長率も上がる傾向がみられます。一方顧客満足度調査では、満足の回答割合が高くてもその後の売上向上につながらないケースが見受けられます。 なぜ上記のような違いが起こるのか、具体的にそれぞれの特徴をみていきましょう。 参考:「NPS」って顧客満足度調査とは何が違うの? |Web担当者フォーラム

NPS

NPSでは「他の人に薦めるか」などと具体的な質問がされます。そのため、スコアが高い回答者は実際に他の人に商品やサービスを薦める行動をとり、サービスの発展に寄与している可能性が高いと考えられます。 実際にNPSにおいて高得点をつけた回答者は、低得点をつけた回答者に比べてSNSを使って7倍以上の口コミを発信しているというデータもあります。 参考:【経産省 SNS事例集Pick Up】顧客ロイヤルティアップの秘密! NPS視点でみるSNS活用事例 | BACKYARD

顧客満足度

顧客満足度調査は「サービス内容に満足していますか」というような、NPSと比べて抽象度の高い質問がされています。 「満足」の度合いは、個人の解釈によって大きく変わるポイントです。そのため、たとえ満足だと回答していても、サービスの継続や口コミなどの発信をするかは不明確です。 あるサービスの満足度調査において、解約ユーザーの約80%が解約前に「満足」と回答していたというデータもあります。 参考:「NPS」って顧客満足度調査とは何が違うの? |Web担当者フォーラム

NPSの計算方法

NPSの具体的な計算方法をみてみましょう。 「あなたは我が社の商品をどのくらい友人・家族に勧めたいですか?0〜10の点数をつけてお答えください。」という質問に回答した人を、以下の3つのカテゴリーに分けます。 1.批判者:0〜6点と答えた人。サービスに対して不満を持っている。 2.中立者:7,8点と答えた人。サービスに対して、満足も不満足もしていない。 3.推奨者:9,10点と答えた人。サービスに対して満足している。 この分類結果をもとに、以下の計算式でNPSを算出します。 NPS = [推奨者の割合(%)] – [批判者の割合(%)] 例)推奨者の割合が10%で批判者の割合が30%の場合 NPS = 10 – 30 = -20ポイント

業界ごとのNPS平均・ランキングトップ

ここまで、NPSの意味や算出方法をみてきましたが、実際にどれくらいの数値が適正値なのか、まだ判断しづらいのではないでしょうか。そこで、具体的な目安として「NPSベンチマーク調査2018」におけるNPSスコア結果をご紹介します。 基本的に、推奨者よりも批判者のほうが割合として高いため、ポイントはマイナスの結果が出る場合がほとんどです。しかし、自動車業界のレクサスでは、推奨者と批判者が同程度の割合と分かります。 同業種の平均ポイントや業界1位ポイントをみることで、自社サービスがどの程度の数値を目指すべきなのかが判断できます。ぜひ、自社と同業種のNPSをチェックしましょう。 参考:NPSランキング&アワード – NPSソリューション | NTTコム オンライン

NPSのメリット・デメリット

NPSの概要や平均値がおおまかに分かったところで、次にNPSのメリットとデメリットについて具体的にみていきましょう。ぜひ、サービス導入検討の参考にしてください。

NPSのメリット

シンプルな指標で定量的に可視化できる

NPSは1つの質問をするだけなので、計測方法が非常にシンプルです。経営層から現場の営業スタッフまで数値の概念を理解しやすく、浸透しやすい指標といえます。 そのため、「NPS-10ポイントを目指す」などの目標に一丸となって取り組みやすく、目標の振り返りも容易にできます。

事務スタッフのモチベーション向上

接客をしない事務スタッフは、顧客の生の声を聞く機会がないため、自分の業務が役に立っているのかみえづらい部分があります。 しかしNPSによる目標と実績の振り返りがあれば、ポイントが改善・悪化したときに自身がどう貢献できるかを考える機会につなげることができます。結果として、顧客対応の改善を自分の事としてとらえられ、事務スタッフが意欲的に業務に取り組むことができるでしょう。

競合サービスと自社サービスを比較できる

NPSは世界共通の指標であるため、競合サービスと自社サービスの比較が可視化できます。自社サービスが競合他社に比べてポイントで劣っていれば、サービスのどの部分を改良する必要があるのかを検討できます。

NPSのデメリット

売上との関連が必ずしもあるとはいえない

NPSは売上と相関関係が強いですが、業績と結びつかないケースもあります。売上に結びつかない理由としては、以下の2つが考えられます。 1.推奨者が他のユーザーに薦めるとは限らない 2.薦められたユーザーが、必ずしもサービスの利用や商品購入をするとは限らない そのため、NPSを計測する際は、売上もあわせてウォッチし、本当に成果に結びついているのかを確認しましょう。

アクションプランがないと改善につながらない

NPSによるフィードバックをみたとき、仮にスコアが低くても何が原因か、どう改善すればよいかがすぐには分かりません。 代表的なフォローアッププランとしては、「問題を究明するために詳細なアンケートを作成する」「問題を修正できる人材を確保しておく」などが挙げられます。NPSの結果とフォローアッププランを組み合わせて、成果が上がるように取り組みましょう。

NPSの活用事例

NPSの導入イメージが湧くように、具体的なアクションプランや成果を含めた活用事例を2つご紹介します。

高級ホテル

創業から100年の歴史がある老舗ホテルでは、NPS活用によって稼働率改善の成果がありました。

導入背景

もともと顧客満足度を調査していましたが、5点満点中、3.8~4.2の点数で推移。批判的な回答があったときにサービス改善を行っていましたが、点数の改善にはつながらず、決め手に欠ける状態が続いていました。 このような状態のときに、クレーム対応ではなくファンを増やせる施策としてNPSを知り、導入にいたりました。

NPSを活用した施策

まず行ったことは、ホテルと顧客の接点をスコアにし、可視化することです。ホテルを利用する時に想定される接点は以下のとおりです。

情報収集して予約するまで予約してからホテルに到着するまでホテル滞在中アフターフォロー

このホテルでは、スコアの可視化によって「客室での体験」「観光地での体験」要素のスコアが低い傾向にあることが分かりました。そこで、これらの体験について定性的なコメントを分析すると、「アメニティの充実度」「観光地での満足度」が顧客の期待値に達していなかったと判明しました。 そのため、顧客層に合わせたアメニティを充実させることや、観光地の楽しみ方をホテル側から積極的に発信する施策を実施しました。

結果

施策を1年間継続した結果、NPSの数値は12%向上しました。 また、リピート率が目にみえるほど向上し、稼働率が前年比+8%にまで上がりました。 参考:NPS調査事例:高級ホテルのモデルケース|EmotionTech

湘南美容クリニック(SBCメディカルグループ)

美容医療分野で急成長を遂げている「湘南美容クリニック」は、NPS活用によって、現場単位で細やかな改善を行う体制を整備できました。

導入背景

NPS導入前は、顧客満足度調査を紙のアンケートで実施していました。この方式では、顧客側で記入するのが面倒なうえに、回収・集計にかかわるスタッフの工数もかなりのものでした。 顧客満足度調査からは「顧客が少ない院ほど顧客満足度が高い」という結果が出ていたため、今後の方針に活かしづらいという悩みもありました。その際に、企業の成長率と親和性が高いNPSの手法を知り、導入を決めたのです。

NPSを活用した施策

NPSにより定量データが可視化されたことで、全国の医院の良し悪しが明確になりました。上位の医院は、モデル院としてうまくいった取り組みを全国に横展開しています。 また、施術別・医師別まで細かくNPSスコアを収集して今後の施策に役立てています。 「脱毛のお客様が施術で気にされている点」「特定の医師の治療方法における改善点」が簡単に集計できるので、すぐにサービスを改善することができます。

結果

各医院でやるべきことが明確になり、全医院の平均NPSポイントを改善できました。 また、定量的なスコアが明確になることで、各医院の現場のモチベーション向上にもつながっています。 自院のスコアをもとに、強み・課題を把握して、翌月のアクションプランを立てる取り組みが現場単位でできるようになりました。取り組みの成果が目にみえて分かるので、更に良くしていきたいという好循環を生み出しています。 参考:湘南美容クリニック(SBCメディカルグループ) : 導入事例 – NPSソリューション | NTTコム オンライン

NPS専門サービスでは何ができるのか

NPSの導入支援サービスには、大きく分けて以下の2種類あります。それぞれのサービス概要も紹介しますので、自社の目的に合うサービスの検討に役立ててください。 1.人的コンサルがついて、具体的な改善案まで提案するサービス 2.ツールの導入によって、NPSを可視化するサービス

コンサルつきのNPSサービス

「NPSとは何かをよく知らない」「NPSの活用経験のある社員がいない」という企業におすすめなのが、コンサルつきのサービスです。知見のあるコンサルタントが、スムーズな導入・成果創出の点で、支援します。主に以下のサポートが役立ちます。

相談ベースで、自社に最適のプランを提案プレゼンを通して、社内にNPSの浸透を支援過去の知見から、NPSの改善方法を具体的に提案

ツール導入によるNPSサービス

「NPSを安価に運用開始したい」「社内に改善方針を立てられる人材がいる」企業では、ツールを用いたNPSサービスがおすすめです。ツールを用いると、主に以下の指標を可視化できます。

自社のNPSポイント、推奨者、中立者、批判者の分布利用顧客からのコメント競合サービスと比較した、自社サービスの立ち位置

コンサルつきのサービスと比較すると、コストが安価で導入のハードルが低くなります。まず現状を把握したい場合は、ツールの導入からスタートすると良いでしょう。

まとめ

NPSとは、その企業や商品への思い(顧客ロイヤルティ)をシンプルな指標として可視化します。売上との相関関係が強いので、指標の1つとしてウォッチするのが望ましいです。 ツール活用など、可視化のハードルは下がってきているので、ぜひ自社にあった導入の形を検討してみてください。

参考にしたサイト

「NPS」って顧客満足度調査とは何が違うの? NPSは業績に直結する指標です[第1回] | Web担当者Forum NPS(ネットプロモータースコア)とは?顧客満足度との違いを解説 | 株式会社Emotion Tech(エモーションテック) NPS®(ネットプロモータースコア)とは? | NTTコム オンライン NPSと従来の顧客満足指標の違い – 株式会社トータル・エンゲージメント・グループ ネット プロモーター® スコアの定義と計算式 | SurveyMonkey NPSランキング&アワード – NPSソリューション | NTTコム オンライン NPSとは?顧客満足度に代わる新しい指標を理解しよう|ferret [フェレット] 【徹底解説】NPS(ネットプロモータースコア)とは。顧客ロイヤルティを数字に|Orange Operation NPSとは?顧客満足度よりも「成長」を判断しやすい指標 – NPS | ボクシルマガジン NPSのメリット6つ。NPSを経営上のKPIとして活用し、顧客価値向上に役立つと感じるメリット6点 | 出張シェフサービスのマイシェフ社長ブログ NPS に対する賛否 NPS の利点 | SurveyMonkey 導入事例 – NPSソリューション | NTTコム オンライン

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