しかし、「LINE公式アカウント」について、

「自社にLINEはあまり向かないんじゃないか?」「LINEが重要なのはわかるが、自社がどうすべきかわからない。」「LINEを使ってはいるものの、あまり効果が実感できない」

という声を耳にすることも少なくありません。 そこで今回は、LINE公式アカウントの活用に精通する、ソウルドアウト株式会社の執行役員LINE事業本部長の浅見 剛氏に、LINE公式アカウントを駆使して売上を前年対比147%成長させた事例や知っておくと失敗しない活用のコツについて話を聞いてきました。 本記事を読めば、非対面オンライン接客における見通しが持てるようになります。

LINE公式アカウントを活用して前年比147%成長

ソウルドアウト株式会社 執行役員 LINE事業本部長 浅見剛 氏

LINE公式アカウントを活用して前年比147%成長LINE公式アカウントで成果を出せた理由WebのCV地点を「資料請求」から「LINE相談」にスタッフが抱くLINEへの抵抗は、地道な改善の積み重ねによる成功体験で解決LINEならではの「グループチャット」が既存課題のブレイクスルーに既存顧客のリピート率アップであれば、無料アカウントでもできることは多い無料でも手軽にできるのは、個別のコミュニケーションと既存顧客のリピート率改善メッセージ配信は「タイミング」がすべて「ブロック」されることを恐れすぎない異業種の活用事例に意外なヒントがあることもアカウント名は後で変えられないので慎重に決めるまとめ話を聞いた人

――簡単な自己紹介をお願いします。 地方・中小企業のパートナーとして事業支援を行っているソウルドアウト株式会社で働いています。2018年にLINEに特化した部署を立ち上げ、責任者としてLINE広告やLINE公式アカウントの活用支援サービスの提供をしています。 部門立ち上げ当時の2018年においては、LINEは、国内屈指のユーザー数を誇るプラットフォームでありながら、広告についてはGoogleやFacebookなどと比べると後発気味でした。しかし、見方を変えて、これからの伸び代が無限にあるとも捉えました。さらに、大手コンサルティング会社もまだそれほどLINEに注力していなかった背景もありました。 私たちがLINEに一番詳しい存在になれたら中小企業支援により貢献できる、と思って今も取り組んでいます。 ――実際に、LINE社からも正式にタイトルをいただいていますよね? LINEの法人向けサービスの販売・開発パートナーを認定する「LINE Biz-Solutions Partner Program」において、国内唯一の「Best SMB Partner」として2期連続で認定を受けています。 その背景には、LINE社がサービスを中小企業に導入するためのサポートを必要としているという課題がありました。私たちも時を同じくして、LINEを使った中小企業支援をしようと決めていたこともあり、ソウルドアウト含む5社がSMB領域におけるパートナーシップを締結しました。 Best SMB Partnerは半年毎の累計売り上げ実績などを基準に選ばれます。私たちは、LINE広告におけるセールスパートナー内での運用支援者数が1位だったということで評価いただきました。

参考:LINEの法人向けサービスの販売・開発のパートナーを認定する 「LINE Biz Partner Program」の「Sales Partner」の広告部門において二期連続の「Silver」及び「Best SMB Partner」に認定 ――直近で最も大きな実績が出ている事例を教えてください。 1年で前年対比売上147%を達成し、LINEを経由した売上は前年対比で2.4倍にまで上がった、運転免許取得斡旋のポータルサイトへのLINE導入が挙げられます。

LINE公式アカウントで成果を出せた理由

――成果を出すまでにどのようなことをしたのでしょうか? ユーザーとのコミュニケーションのあり方を根本から見直すところから始めました。 ユーザーの中心となる学生は、日常的にLINEでのコミュニケーションを取っています。しかし、当時の業界慣習では、ユーザーとのコミュニケーションの接点は「電話」「パンフレット(資料請求)」「Webフォーム」という3つの方法が一般的でした。業界慣習がユーザーの変化に全くおいつけていませんでした。 そこで、すべてLINE中心に置き換えて、フローを設計し直しました。 具体的には、

「LINE相談・空き枠確認→LINE上でのコンタクトポイントの獲得」「LINEチャットでの定期接触の実施」「LINE経由の受付・教習所への送客」

この3つです。ユーザーからの問い合わせや申し込み後のやり取りを、すべてLINEで完結できるようにしました。これまで必須だった「紙の契約書」もなくしました。 覚悟を持って、これまでの業界慣習を捨て、全社的な取り組みとして、LINE中心の業務フローをつくっていきました。

図:すべてLINE公式アカウント中心に置き換えて、フローを設計し直した

WebのCV地点を「資料請求」から「LINE相談」に

販促活動もLINEを中心に再設計したのは、当時は画期的でした。(今では常識になっていますが。) Web広告やサイト上のメインのCV地点を「資料請求」から「LINE相談」に切り替えたのです。目的は、検討段階が浅い段階でユーザーと直接コミュニケーションを取れる接点を増やすことにありました。 自動車学校、特に繁忙期には人気校を中心に申込みが殺到するため、サイト上で情報収集をして意思決定した後にお問い合わせを頂いても、すでに空き枠がない、ということも多くあります。 また、人生で2度も3度も自動車学校に行く人はほとんどいないため、全員が未経験。判断軸が適切でないことも多いため「今なら18万円!最低価格保証!」のようなわかりやすいキャンペーンに大きく意思決定が左右されてしまいます。できる限り検討段階の早い段階で、ユーザーと接点を持ち、相談しながら条件にあう学校を提案して、意思決定してもらうことがポイントになります。 すなわち、いかに検討段階が浅い段階でユーザーと直接コミュニケーションを取れる接点が持てるかが、成約を伸ばす上での最重要ポイントなのです。 しかし、これまで、検討段階の浅いユーザーと接点を持つためのタッチポイントは「資料請求」しかありませんでした。サイト上に情報はすべて載っているのに、同じ情報が掲載されたパンフレットを紙で欲しい、というユーザーは年を追うごとに減少しており、タッチポイントの獲得は大きな課題でした。 CV地点を「LINE相談」にすることで、検討段階の早い段階のユーザーの気軽な接点の獲得が可能になりました。広告経由の獲得単価も大きく改善し、売上向上に大きく貢献しました。 また、LINEを使うことで、「一方通行なコミュニケーション」から「双方向のコミュニケーション」に変わったことで、ユーザーそれぞれの不安やニーズを汲み取りやすくなり、展開する広告や発信コンテンツも自然に変化していきました。 成果が出始めてくるとスタッフさんはもちろん、弊社関係者も一様にユーザーに寄り添ったコミュニケーションを大切にするようになりました。展開する広告訴求や発信するコンテンツも自然と変化していき、他社との「キャンペーン競争」ではなく、本質的なサービスの改善サイクルが回り始めました。

スタッフが抱くLINEへの抵抗は、地道な改善の積み重ねによる成功体験で解決

――LINEへのシフトを進める上で、課題となったことはありますか? 電話に慣れているコールセンターのスタッフが、当初LINEに対して抵抗を抱いており、この払拭が最大の課題だったと言えます。 LINEへの抵抗を払拭する方法は、「粘り強い伴走」を実践し、当事者の実体験に則してLINEの魅力を伝えていくことで説得していきました。 具体的に例をあげると、チャットでのすべてのやり取りのひとつひとつに私が目を通し、細かく具体的に日次でフィードバックしたのも粘り強い伴走の1つです。 チャットに応対するスタッフは、もともとは電話応対のプロ。会話内容のみならず、声のトーンから心理を洞察し、巧みな会話で本人も言語化できていないあいまいなニーズを引き出し、ピッタリの自動車学校を紹介することにかけては自負がありました。 その分、LINEならではのチャットコミュニケーションに抵抗があり、「まどろっこしい」「電話の方がいい提案がしやすい」という声が多く挙がっていました。特に、チャットの場合はお客様からの返答を待つ時間が必要になりますが、この待機時間が機会損失につながっていると感じられていたようです。 そこでで実施したのが「チャットの往復回数を減らすためのコミュニケーション改善」です。 電話の場合、情報量を一気に多く伝えてしまうと受けてが消化しきれなかったり、気まずい「間」もできてしまうため、キャッチボールの回数とリズムを大事にコミュニケーションを取ることが重要でした。 LINEによるチャットの場合は、文字で残り読み直せるので、1回の情報量を増やしても問題ありません。 例えば、これまでは自動車学校の「学校名」だけを提示していましたが、「学校のサイトURL」を合わせて複数提示するように変更しました。そうするとユーザーはURLをクリックして、サイトから情報を取得し、サイトでわからなかったことだけをピンポイントで確認したり、サイトでそのまま申し込みしてくれる、という行動が増えました。 このような細かい改善を1つ1つ積み重ねた結果、チャットの往復回数も劇的に減り、サイト経由のCVも向上しました。 また、コールセンターの受けきれる量を超えて電話が入ってくることも多い繁忙期には、電話がつながらない、といった状況になることもしばしばありました。 並行して同時に何人もの相談に乗れるLINEのチャットは、電話を待たされていたユーザーにとっても、待たされストレスを抱えたユーザーの応対をしなければならないスタッフにとっても、なくてはならないチャネルとなりました。ビジネス上も、機会損失が改善されたことで大きな売上につながっています。

LINEならではの「グループチャット」が既存課題のブレイクスルーに

――改善の積み重ねが大きな成果を生み出した取り組みと言えますね。ほかにも「これは特に上手くいった」という施策はありますか? LINEの「グループチャット」機能の活用は、合宿免許を探すユーザーに起こりうる固有の問題を解決した画期的な施策でした。 例えば、5名以上の団体で免許合宿に申し込まれた時、これまでは代表者と連絡をとり、全員のスケジュールや希望エリア、予算等をまとめてもらっていました。これは思った以上に時間がかかり、友達同士で協議している間に希望の自動車学校が満席になってしまうなんてことも多かったそうです。 LINEではグループチャットの機能を使って友達全員でやり取りができるので、圧倒的に効率が良くなりました。 1名が譲れない条件があって合意が難しい状況に陥った場合でも、情報に精通したスタッフが代表者に変わって代替案を提示することで、合意にとりつけた、という成果もでています。 このように地道な取り組みを重ねて、LINE公式アカウントを中心に据えた業界慣習からのデジタルシフトを実現できたことで、売上が上がったことはもちろんですが、競合が追随することで、業界全体のユーザー体験の利便性が大きく改善していることは、個人的にはとてもうれしく感じてます。 コロナ禍で非対面のオンライン接客へのデジタルシフトを余儀なくされている企業も多い中、現場で培ってきたLINE公式アカウントを中心に据えたコミュニケーションのノウハウで少しでも多くの企業に役立ててもらいたいと考えています。

既存顧客のリピート率アップであれば、無料アカウントでもできることは多い

――改めて、まだLINE公式アカウントを使っていない・使いこなせていない企業向けに、気をつけるべきポイントを教えていただけますでしょうか? まずいえるのは「無料だからとりあえずやっておこう!」というのは止めた方が良いでしょう。安易に開設した場合、挫折しやすいからです。まずは「利用目的を明確化」することが重要です。 ――利用目的の明確化とは、具体的にどういったことですか? LINE公式アカウントの利用目的を大きく分類すると、以下の3つです。

新規見込み顧客の獲得:チラシ・クーポンサイトの代替既存顧客のリピート利用促進:郵便DM・会員向けメルマガの代替個別のコミュ ニケーション:電話連絡・対面接客・問合せ窓口の代替

このうち自社の目的がどれに当てはまるかによって、LINEの使い方も大きく変わっていきます。

無料でも手軽にできるのは、個別のコミュニケーションと既存顧客のリピート率改善

――無料プランでも十分に効果が発揮できるのはどんな目的の場合でしょうか? 目的が「個別のコミュニケーション」の場合には無料でも十分なケースが多いです。また、既存顧客のリピート率改善が目的でも、月間1000通という上限内に収まるのであれば、無料プランから始めるのが良いでしょう。 最初はLINE公式アカウントを導入してみて、ユーザーの声を吸い上げてみたり、リードタイムがどれだけ短くなったか感じてみたり、導入前後の変化実感することが重要です。 チャットと相性が良いのが、LINEを使った見積もり相談や査定、あとはオーダー系などが挙げられます。さまざまな業種で利用することができます。 例えば草野球チームのユニフォームを作ってくれるようなスポーツ用品店さんの場合、チャットを通して注文を受けるといった利用方法があります。デザインやフォントなどを数パターンから選んでもらって受注するのですが、聞き間違いがないので受注ミスが減ったり、来店する手間が減ったので検討~購入までのリードタイムが短くなったりといったケースがあります。 「あまり効果が実感できない……」という方は、お客様へのヒアリングなどを実施することをおすすめします。 運用提供側からしたら、お客さんの数が増えるわけでもなく、ただ電話がLINEに代わっただけという場合もあると思うなので、効果を肌で感じづらいかもしれません。ですが、「ユーザー体験」という視点でみたら、上記事例のように間違いなくLINE導入以前・以後では異なるものになります。 ――私の知り合いの美容院がまさに「成果が実感できない」という状態でした。 美容院の場合、「カットモデルでこういうヘアスタイルがありますよ」とか「シャンプー売ってます」のようなコンテンツが多く見られます。こういうコンテンツを、LINEのタイムラインとかで数百人に向けて送ったら効果が出やすいでしょう。 美容院の場合は「リピート率を高めたい」という強い目的意識があるので、運用次第でLINEは強力なツールに化けると思います。 逆に新規顧客獲得するとなると、「ホットペッパー」は新規客限定で「ヘッドスパ無料」や「ヘアケア無料」みたいなクーポンがついてきたりするので、やっぱり太刀打ちできません。つまり、サービスの強みを見極めて適切なアプローチをとることが重要です。 例えば、LINEでお客様が「いつものカットで!」と送ったら、すぐいつものスタイリストがついてくれるみたいな仕組みを作ってみるのも良いかもしれません。ユーザーの利便性向上によって、リピート率が上がるようなことは期待できます。

メッセージ配信は「タイミング」がすべて

――有料プランを使うべきなのはどんなときでしょうか? メッセージ配信を中心に新規顧客獲得を狙う場合は、有料プランを利用するのが望ましいです。 ―― 新規見込み顧客を獲得する場合は、どのようなゴール設定やアプローチをとるのが良いのでしょうか? 最初に目指すべきゴールは「友だち数1000人」ですね。メッセ―ジ配信に対する反応率(クリック率)の平均は10%程度と言われており、効果の実感を得る為にもまず1000人ほど友だちを集めることを推奨しています。(参考:中小企業のLINE@運用代行|成功の秘訣は「友だち1000人を最短で集める」) <効果の目安例>

友だち数:1,000人反応率(クリック率):10%反応数(クリック数):100人獲得率:3%獲得数:3件

友達1000人を達成したあとに、反応率を高める為のセグメント配信やクリエイティブ検証などの改善運用へと移行する流れが望ましいです。 ――目的達成のための有効な施策には、どんなものが考えられますか? まずは接点のある顧客とのコンタクトポイント(店舗/Webサイト/メルマガ/SNS等)をフル活用して集めていくことをおすすめします。 多少コストをかけることができる場合は、LINE広告のCPF(Cost Per Follow=友達追加広告)を実施するのも良いです。 広告にはお金がかかるイメージがあるかもしれませんが、LINE広告は、数百円、数千円からでも実施することができます。すでに友達になってくれているユーザーIDをもとにした類似拡張配信はCPFの配信設定として極めて効果的です。 エリア配信も可能で、店舗など特定地点を軸に半径○○kmなどで指定をすることができるのもおすすめの理由です。ちなみに、1フレンド新規獲得にかかる相場は、150円程度を目安と考えておくと良いでしょう。 ――LINEでもときどきクーポンを見かけることがありますが、クーポン施策でおさえておくべきポイントはありますか? クーポンを送る際は、「タイミング」が重要です。一番分かりやすいところでいうと、友達追加された瞬間の挨拶メッセージにクーポンをつけると高い反応率が期待できます。 またECサイトであれば購入完了画面やサンクスページなどのタイミングで「LINEの友達になると限定クーポンのIDが取得できます!」といった形でクーポンを送るのが効果的です。 この状況は、決済が終わっていて一回カートを閉じてしまっているというタイミングです。少し見方を変えると、お財布の口はまだ開いたまま、または開きやすい状態とも言えます。 この時にLINEに誘導しつつ、限定クーポンをフックにして、再度違う商品を検討してもらうなどの行動喚起を行っていきます。 当たり前のことですが、クーポンやメッセージ配信などは、「全員必ず見るわけではない」ということを覚えておきましょう。そのことを念頭に置いたうえで、逆に「可能な限り全員が見るようなシチュエーション」を考えてみると、十中八九見られる「挨拶メッセージ」は絶好のタイミングだということが分かります。 ほかに気をつけるべき点としては「時流」に合っているかどうか。例えば、美容院であれば新生活のタイミングだったり、飲食店であれば花火大会シーズンだったり、その時々で間違いなくホットなタイミングというのがあります。そういうポイントをうまく突いていくのとそうでないのでは結果が大きく変わってきます。

「ブロック」されることを恐れすぎない

――LINE運用上の落とし穴のような誰しもがはまってしまいそうな注意点があれば教えてください。 一番多いのは「送信ミス」です。管理画面上で文字を打って、スタンプを貼り付けて、そのままの勢いで送信ボタンを押してしまうケースは少なくありません。 無料アカウントは月に1000通までなので、仮に500人に誤送信してしまうと、またその500人にお詫びのメッセージを送らないといけません。そうすると、一瞬で月の送信上限に達してしまいます。 こういったミスは企業としての信頼度にもつながり、場合によってはブロックの原因ともなりかねません。テスト配信機能が備わっているので、メールを送る際はスマートフォンの画面上(受信者と同じ体裁)で確認した上、配信することを心がけてください。 ――たった1つのミスで、ブロックされてしまうのは辛いですね。ブロックに対してはどのように向き合うのが良いのでしょうか? 先にお伝えしたことを気をつけるのが大前提ですが、ブロックされることを気にしすぎるのもあまり良くありません。 例えば、「今月3回送ったらブロック率が前月対比で10%も上昇してしまった……来月からは2回にしよう」など、ブロックに一喜一憂するのはよくある光景です。 もちろん過剰に送ることはよくないですが、あまりビクビクして配信することを躊躇ってしまうと、LINE公式アカウント経由での成果が極めて限定的なものにしかなりません。 なので、気の持ちようとしては「見たくない人からはブロックされるもの」くらいが良いかもしれません。その方が、運用する側も攻めっ気を忘れずにいられるのではないでしょうか。 弊社で取引しているとある小売店はブロック率が驚くほど高いんです。ただ、1ヶ月に1回配信するクーポンの配信タイミングになると一斉にブロック解除されます。購入したらまたブロックされるというのが常態化しているんです。 その商品が2~3ヶ月に一度買うような性質の物なので、おそらく「買う時だけメッセージが欲しい」ということが見て取れます。 このブロックが意味するところはその小売店を嫌いになっているというわけではないんです。タイミング的に必要ないからブロックしているだけなので、「ブロック=悪(嫌われた)」と一側面のみで判断するのは、判断に誤りがあるかもしれません。

異業種の活用事例に意外なヒントがあることも

――活用が上手だと思われる企業はどんな企業がありますか? 活用が上手だと思う企業に共通して言えることは予算規模にかかわらず「創意工夫」しているということに尽きます。 例えば、千葉にあるインテリア家具屋さんなんかは顧客との最初の接点をすべてオンライン化していました。入り口をLINEに一元化した上で、ZOOMやSkype、Facebookメッセンジャーなど、利用客が使い慣れているチャンネルに移動し対応しています。 つまり、ハブのような役目を担わせることで、顧客とのデジタルの接点を半ば半強制的に作ることが可能です。メールよりもチャットやテレビ電話の方が基本的にはコミュニケーションの速度は速いので、いちいちURLを貼って送信みたいな手間もなくなります。 ほかには、青森県を中心にスーパーマーケットやドラッグストアを展開している紅屋商事株式会社の「お客様参加型」のLINE公式アカウント運用はとても上手いと思いました。 タイムラインを活用し、「タイムライン投稿の『いいね』を押してくれたお客さまが777名を突破したら、5%OFFクーポンを配信します」という企画などをしていたんです。 「いいね」は実際に押してくれたユーザーの友達にも拡散されていくので、ほとんどコストをかけずにより多くのお客様にリーチすることができます。この施策が、お客様同士の一体感を醸成している点も参考になるのではないでしょうか。 ――チラシ配布などに比べると費用対効果がとても良さそうです。現代人の生活導線上(SNSなど)でコミュニケーションをとることの重要性を感じました。 結果的に費用対効果の良い施策になっていると思いますが、紅屋商事株式会社の例1つとっても、その裏に弛まぬ地道な努力があることを忘れてはいけません。 同社は、「月に10回以上のメッセージを送っているため、マンネリ化を防ぐ目的でチラシの内容にはバリエーションを持たせています。さらに、『消費者目線』を第一に考え、客層の9割を占める女性にフォーカスしてワードをチョイスしたり、インパクトのある画像のデザインなどを考えて配信素材を作成している」と言っていました。 同社ではマンネリを防ぐためにチラシの内容にバリエーションを持たせたり、客層の9割を占める女性に向けてのワード選定を心がけていると仰っていました。 このことからも、LINEで成果を出すためには、それを取り巻く外堀のデザインも大事だということです。

アカウント名は後で変えられないので慎重に決める

――これからLINE公式アカウントを始める方にアカウント開設時に注意しておくべきことなどがあれば教えて下さい。 アカウント種別には「認証済アカウント」と「未認証アカウント」の2つがあります。アカウント開設時にLINE社の審査を通過し認証しておくことで、その後利用できる機能の幅が広がるメリットがあります。それを踏まえて、注意すべき点はおおよそ3つです。 <アカウント名> 原則、お申込み後の変更は不可となります。また、同じ名で複数開設することはできません。 <業種> 正しい(より実態に近しい)業種を選択ください。特定業種のみ活用可能となる機能や条件が発生する場合がございます。(※コロナ影響による営業時間変更の通知メッセージが無償になるなど) <メールアドレス> 本人確認時などLINE社より確認が入ります。尚、登録されたサービスURLと別ドメインのアドレスの場合、メールでの本人確認がNGとなり電話確認となる場合があります。 特に注意しないといけないのが「アカウント名」です。認証済アカウント申し込み後に変更ができないこと以外にも、同じ名で複数開設することができないという制限があります。 長期的に見てさまざまな展開が予測される場合は、事業部単位でアカウントを取得するなど、アカウント名の棲み分けを慎重に行う必要があります。 ――オプションサービスの「プレミアムID」は取得すべきでしょうか? 取得すべきか否かはケースバイケースです。 プレミアムIDを取得しない場合は、不規則な英数字が生成されます。このようなことからも、ブランドを展開している企業などは、そのブランドの綴りの方が検索確率が高いため取得する価値はあります。 一方で、直接リンクを貼って誘導することを目的としている場合などは取得する意味はあまりないと言えます。その場合、得られるメリットが見栄えくらいなものなので、本質的に取得する必要性はないです。

まとめ

ここまで、LINE事業本部長の浅見氏に、LINEを駆使したビジネスの成功事例や活用ポイントについてお伺いしてきました。 LINE公式アカウントを開設する際は、しっかりと「LINE公式アカウントで何を成し遂げたいのか」という目的を明確にしましょう。 LINE公式アカウントの利用目的は「新規顧客獲得」「既存顧客のリピート促進」「個別のコミュニケーション」の3つに分けられます。目的に応じて活用法は変わります。リピート促進や個別のコミュニケーションを目的とする場合、規模感にもよりますが、無料プランでも十分なケースがあります。一方「新規顧客獲得」を目的としてチラシなどの代替として利用する場合は有料プランを選ぶのが良いでしょう。 メッセージ配信やクーポンなどを使って成果を上げるのであれば「タイミング」が重要です。ECサイトなどであれば商品購入後のサンクスページなどに置くと効果的です。 LINE公式アカウントではブロック率を一つの指標として見ることができますが、ブロック率を気にしてメッセージ配信の頻度を極端に下げてしまうと成果につながりづらくなるので注意しましょう。 開設の際、「アカウント名は後から変更ができないこと」「同じ名前のアカウント名は作成できないこと」の2点には特に注意しましょう。

話を聞いた人

浅見 剛(あさみ ごう) 2008年オプト中途入社。2010年ソウルドアウトの立ち上げに参画。2011年上期MVPを受賞。営業部長、支援部門・本部長を歴任し、2017年1月にEC支援本部・本部長に着任。成果報酬型の販売代行サービス、EC事業立上げ支援、LINE@の運用支援サービスなど開発し提供。2019年1月より、LINE事業本部本部長に就任。(Twitter:@goasami) 当サイトLISKULでは「LINE公式アカウント」の最新活用ポイントを複数の記事で説明しています。 (あわせて読みたい資料)

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