リスティング広告の効果が頭打ち。半年以上も効果が横ばい。代理店担当者の動きが悪い。最近は提案も特にないし、レスも遅い。これで本当にいいのかな?と思いながらインハウス運用をしている。

このような課題を感じられているのであれば、今すぐ代理店を選ぶ行動を起こすべきです。 しかし、国内に1500以上あるともいわれるリスティング広告代理店、その中から良い代理店を選ぶのは、専門家でも難しいことです。 結論からいうと、選べる代理店は「広告予算次第」で変わります。より多くの予算がある企業の方が、より多くの代理店の中から選ぶことができます。予算次第というのは、あまり公然とは語られていない「不都合な真実」です。 一方で、予算さえ多ければ必ず良い代理店に巡り会えるとも限りません。予算が多ければ選択肢は増えますが、そこから良い代理店を選べるかは見極め次第。どんなに予算が多くても「地雷」にあたってしまえば、取り返しのつかない大失敗につながることもあります。 本記事では、業界に20年近く身を置き、リスティング広告代理店の事業責任者も務めた経験から、業界の裏側まで切り込んだ、実態に基づく成功確率を上げる選び方や依頼の方法を整理してお伝えしていきます。 【広告運用のプロが教える】リスティング広告代理店の選定ポイント

この記事の監修・執筆

長谷川 智史(はせがわ さとし)@so_hasegawa SO Technologies株式会社 執行役員CMO 2005年にネット広告代理店大手のオプト入社。2012年ソウルドアウト株式会社に入社。2015年~2016年には、リスティング広告代理事業の責任者として130名規模の組織マネジメントを通じ、東証一部上場企業にまで成長する一翼を担った実績あり。(執筆記事一覧 )

月額予算次第で選べるリスティング広告代理店は変わる

もし、あなたがリスティング広告の代理店を選ぼうとしていて、詳しい知人に「どの代理店が良いか?」と質問したら、まず月額予算を聞かれるはずです。予算によって紹介できる代理店が大きく変わるからです。

この記事の監修・執筆月額予算次第で選べるリスティング広告代理店は変わる代理店は規模によって大きく3つに分類できる大手代理店だから必ず成果が上がるわけではない。究極的には「担当者との相性」広告費に比例する代理店手数料・相場は広告費の20%少額の場合は初期費用や月額固定費制のケースも(参考)手数料の値引き要求は避けた方が無難(参考)手数料内掛け20%は外掛け16.7%と同じ月額広告予算別のリスティング広告代理店の選び方月額広告予算1000万円以上の場合の選び方月額広告予算100万円~1000万円未満の場合の選び方月額広告予算30万円~100万円未満の場合の選び方少額(月額広告予算30万円未満)の場合の選び方月額予算以外に考慮すべき代理店選びの5つの要素(1)依頼側の知識・経験(2)業種・業態の特殊性(3)自社(広告主)の取り組みスタンス・関与度(4)エリア(特に東京・大阪以外)における地場へのこだわり(5)事業成長に対する欲求の強さ失敗確率を下げるための事前リサーチチェックリスト1.リストアップは知人→SNS→検索の順で2.Yahoo!/Googleの認定パートナーから選んだほうが無難3.取り扱い媒体は自社にとって必要十分そうか?4.ランディングページやバナー・動画など、自社が必要とする制作に対応していそうか?5.同業種・類似業種の実績はありそうか?6.従業員数・設立年度・代表者/経営幹部の経歴をチェック7.「代理店名×評判」で、従業員の待遇・満足度が低くないか?もチェック問い合わせ時の依頼文面サンプルと事前準備しておくべき項目問い合わせフォームへの依頼文面サンプル選定に向けて事前に整理しておくべき項目代理店選定時に確認したい7つのチェックリスト1.ヒアリングは的確か?提案内容はしっくりくるか?2.取り扱い媒体や制作体制・周辺サービスは自社に(近い将来も見据えて)必要十分か?3.契約内容やサービスレベルに不明点はないか?4.開始~運用におけるスケジュールは明確か?5.実際に窓口や運用する担当と話せるか?フィーリングは合いそうか?6.決定前に、上長(役職者)とあいさつできるか?7.自社/自分自身はこの代理店にとって良い広告主/担当者であれそうか?まとめ

しかし、ネット上の検索結果に表示される記事には、月額予算次第で選べる代理店が変わることは、現時点でほとんど書かれていません。これは、代理店側からすると「不都合な真実」に他ならないからです。 選び方をご説明する前に、リスティング広告代理店のプレーヤーと手数料の仕組みについて、かんたんに説明しておきます。(すでにご存知の方は飛ばして頂いて構いません。)

代理店は規模によって大きく3つに分類できる

国内のリスティング広告のシェアをGoogleと二分するYahoo!。その認定パートナー(≒代理店)は、その実績に応じて★を付与されています。 この★の数は、広告取り扱い額の規模にほぼ比例していると想定され、この実績に基づいて、大きく3つに分類できると筆者は考えています。

大手:★★★★以上の7社 ※サイバーエージェント・アイレップ・電通・博報堂・オプト・セプテーニ・トランスコスモス中堅:★★★の17社 ※ソウルドアウト・ADK・GMO NIKKOなど中小:★★以下の数百社

参考:認定パートナー – Yahoo!マーケティングソリューション  ※2020年11月時点の記載内容をもとに執筆 注:ソウルドアウトは当サイト(LISKUL)の運営元企業です。

大手代理店だから必ず成果が上がるわけではない。究極的には「担当者との相性」

大手代理店に依頼すれば、必ず成果が上がるわけではありません。 成果を決める一番の要因は担当者の力量や経験値です。さらに、力量や経験値がある担当者でも、広告主や広告主の担当者との相性が悪い場合には、まったく成果を出せないこともあります。 したがって、広告主側は自社や担当者自身と相性が良く腕もよいリスティング広告代理店の「担当者」を選定すること、これが成果を出すための最重要ポイントです。その際、大手代理店は以下の点で成果を出せる担当者に巡り会える可能性が高いといえます。

月額1000万以上のアカウント運用経験を持つ人材が豊富採用時の人材水準が相対的に高く、社内の教育体制やインフラが整備されている媒体社からの情報提供やサポートが手厚い

一方で、「大手代理店の担当者は少額運用の経験に乏しい」「新人採用を積極的にしており新人に当たる可能性がある」など特に月額予算がそれほど高くない広告主にとっては、むしろ地雷になりかねない要素もあります。

広告費に比例する代理店手数料・相場は広告費の20%

選べる代理店が「月額予算次第」である理由は、リスティング広告の代理店手数料の相場慣習にあります。代理店を適切に選ぶ上でも代理店手数料の仕組みについて理解しておくことは大切です。 一般にリスティング広告の手数料は広告費の20%で、広告費に比例して手数料額が増える仕組みになっています。 例えば、広告費が30万円の場合には6万円が代理店の手数料となる仕組みです。もし、広告費が3000万円であれば、代理店手数料は600万円になります。 代理店側が、広告費3000万円の顧客から得られるのと同じ手数料を広告費30万円の顧客で賄おうとすると、100社対応する必要があります。3000万円の顧客1社対応するよりも、30万円の顧客を100社対応する方が、運用の手間も窓口の負担も圧倒的にかかります。 したがって、代理店側には予算の大きい顧客にシフトしたくなる経済的な力学が働きます。 この力学を打破するために、過去様々な代理店が固定費制やチケット制などの様々な料金プランを開発してきました。しかし、業界に大きなインパクトを与えられず、2020年時点では、業界全体として、広告費連動の20%マージンモデルからの脱却は果たせていません。

少額の場合は初期費用や月額固定費制のケースも

月額予算が少額、特に30万円未満の広告主に対しては、必ずしも広告費の20%の手数料制は適用されていません。 むしろ手数料20%のことは少なく、40%~50%の手数料を設定していたり、月額固定方式の手数料制を採用している代理店の方が多い傾向です。また、初期設定のための費用を別途請求されるケースもあります。 このカラクリとしては、月額30万円未満の広告費に対して20%の代理店手数料だと、運用に必要な人件費をまかない利益を出すことが難しくなるためです。 仮に月額10万円の場合、2万円の手数料収入になります。そうなると利益を確保しようとすると、肝心の広告設定や運用にほとんど時間をかけることはできなくなってしまいます。そのため、利用額に関わらず3~5万円の固定手数料制を取っていたり、40%~50%の手数料制を採用しているのです。

(参考)手数料の値引き要求は避けた方が無難

代理店に対して手数料の値引きを要求するのは、避けた方が無難です。 広告費と手数料の合算に対して10%の値引きを要求した場合、もともと20%の代理店手数料は半分になってしまいます。広告主側にとっての値引きのインパクトに対して、代理店側の収益インパクトの方が大きいため、運用に掛けられる工数が減り、成果を出せる確率が大きく下がってしまうリスクの方が大きいためメリットがあまりありません。 月額数千万以上の広告主が、代理店側から持ちかけられてはじめて値引き検討するくらいでちょうど良いと考えます。 (ただし、値引きを武器にする代理店は運用担当者の力量が高くない傾向があるので、よく検証した方が良いでしょう。)

(参考)手数料内掛け20%は外掛け16.7%と同じ

ちなみに、代理店手数料を計算する時、広告費を基準にした「内掛け」方式で計算しているのか、支払総額を基準にした「外掛け」方式で計算しているのか、混乱することがあります。 例えば、手数料を含めた支払総額が100万円の場合には、広告費は83.3万円で、代理店手数料は16.7万円になります。この場合の代理店手数料16.7万円は、支払総額の100万円に対する外掛けで計算すると16.7%になり、広告費の83.3万円を基準にすれば内掛け20%になります。 代理店とのやりとりで、手数料込みの予算を提示していたのに、手数料抜きの予算で利用が進んでトラブルになるケースがまれにあるので、手数料込みの話をしているのか、手数料抜きの話をしているのかをよく確認しましょう。

月額広告予算別のリスティング広告代理店の選び方

ここからが本題の「リスティング広告代理店の選び方」の説明になります。まず、月額予算別の選び方の基本方針を説明した後に、月額予算以外に選び方について影響を与える5つの要素について説明していきます。

月額広告予算1000万円以上の場合の選び方

月額広告予算が1000万円以上の場合には、大手代理店を中心に4社前後の競合コンペをするのが良いでしょう。 この予算規模の広告主の場合大手代理店の奪い合いになっていますので、強烈な値引き要求などをしない限りは「選べる立場」です。したがって選定の難易度は高くありません。 代理店側もコンペに慣れており、コンペ専門の提案部隊が組成されていることがほとんどです。特に月額予算が3000万円を超えてくると、どの代理店でもしっかりした提案を準備してきます。 ただし、月額予算3000万円未満の場合には、まだ本気で乗り出してこないスタンスの大手代理店もいるようですので、その場合には、中堅代理店の中から1~2社をコンペに加えてみるのも良いでしょう。この予算規模だと中堅代理店はエース級の担当者をつける可能性が高いです。 各代理店が出してくる提案内容を比較した上で、実際に運用を担う担当者との相性や役職者が責任を持って見てくれるかを踏まえて、代理店を選定しましょう。 余談ですが、当社(ソウルドアウト)でも、月に数件ほど、この予算規模のコンペ依頼があります。広告主の課題に合わせてカスタマイズした提案をしています。

月額広告予算100万円~1000万円未満の場合の選び方

月額予算が100万円~1000万円の場合には、当社(ソウルドアウト)のような「中堅規模の代理店」が選択肢の中心になります。 筆者の感覚値では、この予算規模の広告主が代理店担当者の力量によって成果に最も大きな差が出やすいため、慎重な判断が必要になってきます。 その理由としては、(少し専門的になりますが、)検索連動型広告とリターゲティング広告という手堅く効果を出しやすい2つの手法のみならず、ディスプレイ広告やSNS広告などの運用者の力量によって効果に差が出やすい手法をしっかり攻略しないと成果が頭打ちになってくるのが、概ねこのあたりの予算規模からのためです。 この後の章で説明する「選定時に確認したい7つのチェックリスト」に基づいた判断をしていくことが重要になってきます。 また、必ずしも「競合コンペ」という方式を取らず、各代理店の実際に運用する担当や窓口担当との面談や質疑応答によって、自社と相性の良い代理店を見極めていくことをおすすめします。理由としては、各社コンペ慣れしており、コンペに出てくる営業担当と実際に運用を担当する人が全く別のケースが多いためです。 ちなみに、この予算規模の場合には、大手代理店に提案を依頼しても、グループ企業からの提案になることがほとんどです。例えば、当社は同じグループ企業の大手代理店「オプト」が受けきれないと判断した予算規模の提案依頼を受けることもあります。

月額広告予算30万円~100万円未満の場合の選び方

月額予算が30万円~100万円未満の場合は、最も代理店選びが難しい予算規模です。 なぜなら、中小規模の代理店が選択肢の中心になりますが、中小規模になればなるほど、経験値や能力が高くない担当者が相対的に多くなるためです。この後の章で説明する「事前リサーチチェックリスト」を踏まえて候補を選定し、「選定時に確認したい7つのチェックリスト」に基づいた判断の両方が大切になってきます。 まれに大手代理店の担当者を凌ぐほどの力量を持った担当者に出会えることもあれば(多くの場合、すぐに独立したり、大手代理店に転職してしまいますが)元気のいい営業マンが自分自身で新規開拓しながら、既存顧客の運用まで実施しているケース、営業だけやって運用は別の会社に委託しているケースなど実に様々です。 リスクを取ってでも成功を取りに行くのであれば、企業ではなく「人を選ぶ」という視点で、運用担当と実際に会わせてくれる代理店(営業と運用をまとめてやっている場合がほとんど)から選定する選択肢を取ることをおすすめします。 逆に、大きな失敗を防ぎたい、という場合には、受けてもらえる中堅代理店を探して、仕組みで回してもらうことをおすすめします。 ちなみに、当社(ソウルドアウト)の場合、過去この予算規模を積極的に取り組んでいましたが、現在は、成長欲求が強く、スピード感を持った規模拡大を考えている企業のみ社内で専任担当者をつけて対応し、現状維持で安定的に成果を出したい企業には、グループ会社の開発したツールをうまく使って必須の設定をしっかり実施し効率的に運用する形を採用しています。

少額(月額広告予算30万円未満)の場合の選び方

月額広告予算30万円未満の場合には「とにかく悪徳業者を避ける」視点で代理店選びをする必要があります。 なぜなら、この予算レンジであれば「70点を取るためにやるべき設定」は、ほぼ確立されている一方「100点に近づけるための試行錯誤」は費用対効果があわずどの代理店にも理論上提供不可能だからです。 断言はできませんが、この予算規模の広告主に対して、何でも対応してくれるような融通が効きそうな雰囲気や、調子のいいことを言ってくる代理店は営業ノルマが厳しく、新規開拓のみに注力しており、取引後は放置する類の地雷である確率が高いので注意が必要です。 この予算規模で代理店に任せるということは「70点の設定をお金で買う」と割り切って、「70点の設定すらできない代理店」や「70点の設定にも関わらず高値で提供する代理店」に依頼しない、「欲張らない」視点が必要です。 この後の章で説明する「事前リサーチチェックリスト」を踏まえて候補を選定することで、悪徳業者を候補に含めないことを最重要に選定すべきです。 また、少額でリスティング広告を実施するの場合、リスティング広告を代理店に依頼するのではなく、自身で勉強してインハウスで運用したり、信頼できるフリーランスの運用経験者に依頼する、そもそもリスティング広告ではなく、業界ポータルサイトへ掲載する、など他の選択肢の方が良いケースも多くあります。 参考:リスティング広告をたった5万円の費用で効果的にハックする手法

月額予算以外に考慮すべき代理店選びの5つの要素

代理店の選定方針は月額予算で概ね決まってきますが、以下の5つの要素も影響を及ぼします。自社が当てはまる場合には、考慮に入れて選定しましょう。

(1)依頼側の知識・経験

依頼する広告主側に、過去代理店で3年以上リスティング運用業務をやっていた担当がいる、など、リスティング広告の運用経験や豊富な知識がある場合には選定基準が変わってきます。 経験者がいれば、代理店担当者の力量を見極める精度が高くなるため、大手・中堅・中小という枠組みに頼らずとも、優秀な運用者を見極められる可能性が高いからです。また、リスティング広告の運用戦略は自身が策定し、オペレーションさえ回してもらえれば良いのであれば、運用者に求める要素も大きく変わってきます。

(2)業種・業態の特殊性

広告主の業種や業態が特殊な場合には、選定候補に入る代理店が大きく変化する場合があります。 大手代理店であれば、おおむねどんな業種業態でも運用実績があるため、あまり問題にはなりませんが、中堅~中小の場合、特殊な業種・業態だと運用実績がなく、成果を出しづらいケースがあります。 例えば、スマホのゲームアプリの場合には、効果測定の設定から運用ノウハウは、一般的なリスティング広告運用とやや異なるため、ゲームアプリの実績が豊富な代理店に任せた方が良いケースが大半です。 自社の業種・業態が特殊である自覚がある場合には、必ず類似業種の実績を確認するようにしましょう。

(3)自社(広告主)の取り組みスタンス・関与度

広告主側の取り組みへのスタンス・関与度も代理店選定に影響を与える要素の一つです。取り組みへのスタンスは企業によって様々ですが、大きく以下の3つのどれに当てはまるかによって、相性の良い代理店担当者が変わってきます。 一概に、どのスタンスが正解というものではありませんが、明確にしておくと失敗は防げます。自分のやり方に自負を持っている腕の良い代理店担当者が、主導権を持ちたい広告主と衝突の末、作業に徹するのみで能力を発揮できずに、もったいない結果になっているケースを数多く見てきました。 ただ成果が欲しいのか、プロセスを学んでいずれ内製化したいのか、はたまた自分の思い通りにしたいのか、目的に応じて、広告主側はスタンス・関与度を明確にして伝えておくと残念な事故はある程度防げます。

(4)エリア(特に東京・大阪以外)における地場へのこだわり

多くの代理店は東京・大阪中心に拠点を構えているため、地場に根ざした代理店を求める場合には、必然的に選択肢は少なくなります。 地場に拠点を持つ代理店のメリットは大きく2つです。

対面コミュニケーションが取りやすいその地域の土地勘に基づいた提案・運用が可能

テレワークが普及して以降、多くの代理店がエリアを問わず案件を受けている傾向にあり、オンライン会議での説明を受け入れられれば選択肢は大きく広がります。しかし、信頼関係を築く上で対面にこだわる方の気持ちもよくわかります。ピンチやトラブルの時、対面でコミュニケーションが取れないよるストレスは人によっては非常に大きなものです。 さらに、エリアが大きな影響を及ぼすビジネスの場合、土地勘の無い代理店担当者だと、コミュニケーションが取りづらく、設定の精度やクリエイティブの質にも影響を与え、効果に直接影響してきます。 選択肢を減らしてでも、地場に拠点のある代理店から選ぶという判断が合理的なケースは少なくないでしょう。

(5)事業成長に対する欲求の強さ

最後に、自社の事業成長に対する欲求の強さも代理店選びの要素になりうることに触れておきます。 冒頭にご説明した通り、代理店は「現在の月額広告予算」に基づいて、ある程度棲み分けされています。 したがって「今は少ない予算だが、売上目標は、1年後には10倍、100倍にする計画で、その折には、リスティング広告予算も10倍、100倍になっているはず」という広告主にとっては、一旦我慢して、限られた選択肢から代理店を選ばなければいけない現実があります。 しかし、成長欲求が高いのであれば、そのことをしっかりと示し、代理店選定の材料に入れるべきです。 当社(ソウルドアウト)の事例でも、広告主側の担当者が強い成長欲求を持っている場合には、取引当初は予算が少額でも経験豊富な運用担当者を配置して短期間に引き上げているケースは数多くあります。 以下のケースでは、取引当初は少額だったものの手厚く対応し、広告主の事業成長によって、結果、約2年で91倍の取引に成長しており、代理店にとってもメリットの大きい座組になっています。

※ソウルドアウト株式会社2019年12月期第1四半期決算説明資料より抜粋

失敗確率を下げるための事前リサーチチェックリスト

リスティング広告の代理店選定時には、事前リサーチで3~6社程度まで候補を絞り込むのがおすすめです。少ない候補から決め打ちするのはリスクが高く、かといって10社も20社も話を聞いていても時間の無駄になってしまいます。 事前リサーチ時に抑えておくべきポイントは以下の7つです。 事前リサーチによる候補選定のポイントは、「失敗確率を下げる」視点で候補選定をすることにあります。 究極的には、腕がよく、自社と相性の良い代理店の「運用担当者」を選ぶのがリスティング広告代理店選びの最重要項目です。要は「人で選べ」です。したがって、事前リサーチでは、担当者が能力を発揮しづらい仕組みの企業や、自社の社風と合わない企業を選択肢から外すことで失敗確率を減らすことを目指します。 特に月額予算100万円未満の場合には、玉石混交の中小代理店が選択肢の中心になってきますので、事前リサーチが特に重要になります。 正直、外部から得られる情報だけでは、十分ではないため、ある程度割り切って候補を絞って行く必要があります。先述した「予算レンジ」「5つの要素」と以下の7項目を手がかりに自社に合いそうな代理店を候補に加えたり、外したりしながら、3~6社程度の候補を決めていきましょう。

1.リストアップは知人→SNS→検索の順で

まずは代理店候補のリストアップです。いきなり「リスティング広告代理店」と検索してリストアップする前に、人と人とのつながりを起点にリストアップできないか検討しましょう。既存顧客から推奨してもらえる代理店であれば、地雷やハズレのケースは相当低いはずです。 以下の優先順位にしたがって8社~15社前後をリストアップしていきましょう。

知人のつながりから紹介してもらう

まず、社内外の直接のつながりから、実績のあるリスティング広告代理店を紹介してもらえないか声をかけてみましょう。 その際は知り合いの会社の予算規模が自社の想定と一致するかどうかに注意する必要があります。知人の会社でリスティング広告を実際に長期間運用していて、成果や対応に満足している代理店は地雷の可能性は低く、必ず候補にいれるべきです。

SNSのつながりから探す・紹介してもらう

知人のつながりだけでは見つからない場合には、FacebookやTwitterなどのSNSで「よいリスティング広告代理店を紹介してほしい」旨、投稿して紹介してもらえないか試して見ても良いでしょう。 日頃の投稿が確認できる身元が明確な人からの紹介は地雷を避けるフィルターになります。 また、TwitterなどのオープンなSNSで、社名・実名顔出しでアクティブに活動している社員が多い会社は、風通しもよく社員定着率も高い傾向のはずです。(さすがに所属企業に不信感がある場合に、社名を出してアクティブにSNS活動はしないはず。)投稿内容を確認し、直接DMしてみて、信頼できそうであれば候補にいれても良いでしょう。

検索結果から候補を探すのは最後の手段

検索してリスティング広告代理店を探すのは最後の手段にしておくべきです。 理由は、リスティング広告の結果はもちろん、自然検索結果も比較サイトなどに広告費を多く払っている代理店が掲載される傾向が強く、新規顧客獲得への依存度が高い「焼き畑式」の代理店が含まれている可能性があるからです。 実際に、ランキング形式で代理店を紹介しているサイトに多いのですが、業界ではまったく無名の会社が、有名な腕のある会社として紹介・羅列されているケースが散見されます。このような実態を目にしてしまうと、検索結果から候補を探すことはあまりおすすめできない、というのが正直な意見です。

2.Yahoo!/Googleの認定パートナーから選んだほうが無難

Yahoo!マーケティングソリューションやGoogle広告の認定パートナーは、「運用の腕の良さ」の保証にはなりませんが、悪徳代理店を避けるためには有効なシグナルになります。したがって、リストアップした代理店候補の中で、認定パートナーの称号が確認できない代理店は黄色信号となります。 もちろん認定パートナーでなくとも誠実に事業を営んでいる会社も多くありますが、認定パートナーになるためには、一定の審査があるため、企業としての実績が問われます。そのため、突然音信不通になってしまうような悪徳代理店は排除される傾向にあります。 多くのリスティング広告代理店は、実績や認定パートナーの称号のバッジを掲載しているページが自社の公式サイトの会社概要やその配下にあります。(サイトのフッターなどに掲載しているケースもあります。) 参考:実績・認定一覧 | ソウルドアウト もし、公式サイトに称号のバッジが掲載していなくとも、以下Yahoo!のページに掲載していれば認定パートナーになります。 参考:認定パートナー – Yahoo!マーケティングソリューション 

3.取り扱い媒体は自社にとって必要十分そうか?

Google広告、Yahoo!広告は、おおむねどこの代理店でも扱っていますが、それ以外の媒体や広告プラットフォームについても取り扱い有無を確認しておくべきです。 具体的には、代理店の公式サイトのサービスページを確認し、どのような媒体の取り扱いがあるかをチェックします。(ただし、取り扱っていても公式サイトに掲載していない場合もあります。)

Facebook広告・LINE広告の扱いはマスト

自社の業種業態にあった取り扱い媒体がないと、後日施策の選択肢の幅が狭まる可能性が高いと言えます。

自社媒体や独自のDSPを推している場合は要注意

一部、GoogleやYahoo!を「見せ球」にして、利益率の高い自社媒体や独自のDSPの利用を促すリスティング広告代理店がいます。このような代理店は要注意です。 GoogleやYahoo!の代理店の取り分は20%ですが、自社媒体や独自DSPだと100%に近い金額が自社の取り分になるため、収益性が高いのです。 このような代理店は、もっともらしい理由をつけて自社媒体へ予算をシフトさせる提案をしてくることがあります。その際、自社媒体の効果をよく見せるために、GoogleやYahoo!の運用をあえておざなりしないとは限りません。 運用の手抜きを見抜ける眼力がないのであれば、このような代理店は避けた方が良いでしょう。

4.ランディングページやバナー・動画など、自社が必要とする制作に対応していそうか?

リスティング広告で成果を出すためには、リスティング広告の設定や運用のみならず、広告の遷移先となるランディングページやディスプレイ広告に表示されるバナーや動画の制作が必要となってきます。 これらについても一括して依頼する想定であれば、制作に対応しているかどうかは、選定の大きな要素になります。 最近では、専門の制作会社が充実してきていたり、クラウドソーシングなどで安価にランディングページやバナーの制作を依頼できるため、マスト条件ではありませんが、やり取りが煩雑になるのを避けたい場合には、まとめて依頼できる代理店を選ぶべきです。

ランディングページを無料提供している場合は、費用や契約期間に注意

最近、低価格帯を中心にリスティング広告の代理店がランディングページを無償提供している場合があります。 まだランディングページを制作しておらず、広告の飛び先のページがイマイチだと思っている場合には有力な選択肢の1つになります。ただし、ランディングページの制作原価を捻出するために、初期費用や月額費用・代理店手数料が割高になっていたり、半年・1年間の長期契約が必須となっているケースには要注意です。 ランディングページの制作相場はテンプレートに沿った簡単なもので10万~30万円前後。効果を出すための戦略設計から検証までしっかり取り組む場合には50万円~となっていますので、別途発注するケースと比較して判断するのが良いでしょう。

5.同業種・類似業種の実績はありそうか?

リスティング広告の代理店選びにおいて、同業種や類似業種の実績があることは、大きなメリットです。(ただし、その業界トップクラスの企業にとっては大きなデメリットにもなりえます。) 業界が近ければ、業界固有の勝ちパターンや失敗するパターンが代理店側にも蓄積されている可能性が高く、試行錯誤が大幅にカットできる可能性が高いためです。 特に古くからリスティング広告を実施している金融・人材・不動産あたりの業種は、自社でインハウス運用するよりも、代理店に任せた方が成果が出るまでのスピードが早いケースが大半です。 したがって、もし自社の所属する業界に特化したリスティング広告代理店があるのであれば、選定候補に1~2社程度は含めておくべきです。 業界特化型でなくとも、同業種・類似業種の事例を掲載している代理店は候補に加えて良いでしょう。ただし、顧客の改善事例は、成果に直結するノウハウであることが多く、公開できないことも多くあります。サイト上に事例が掲載されていないからといって、その業種の実績が無いと判断できませんので注意が必要です。

6.従業員数・設立年度・代表者/経営幹部の経歴をチェック

一般的な傾向として、企業自体の従業員数が少なかったり、設立からの年数が短い場合、危険な代理店であるリスクは相対的に高くなります。地雷を避ける、ネガティブチェック視点だけでいえば、候補から外しておくほうが無難ではあります。 もちろん、少数精鋭だったり、優秀なプレーヤーによって設立されたばかりの優秀な代理店も数多くあるため、知人の紹介など信頼できるルートから選定したのあれば、候補に残して良いでしょう。 問題なのは、このあたりの基本的な企業情報もチェックしないまま、リスティング広告の予算を預けてしまうことです。企業情報をチェックしておくだけで、危険な代理店を避けられる可能性は大きく変わります。 また、代表者や経営幹部の経歴や設立に対する想いなどは、広告主とカルチャーが合いそうかの判断材料になるため、参考程度に見ておき、直観的に「合わなそう」と感じたら、候補から外しておいた方が無難です。

7.「代理店名×評判」で、従業員の待遇・満足度が低くないか?もチェック

もう1つのネガティブチェックとして、従業員の待遇・満足度も確認しておくと良いでしょう。 繰り返し申し上げている通り、成果が出るかは「人で決まる」です。その代理店で働いている従業員が待遇に満足して、イキイキと仕事をしているのであれば、高い成果を出せる人材と巡り会える確率も高まります。 「代理店名×評判」のキーワードで検索すれば、転職者向けの口コミサイトが複数表示されます。これらのサイトを見れば平均の年収レンジや離職率、働いている社員の実際の声を確認できます。年収が高く、離職率が低い方が、相対的に良い運用者と巡り会える可能性が高い代理店といえます。 自身が入社したいと感じる口コミにあふれている代理店がベストです。 例えば、「インセンティブ制」「ノルマ」などの記載がある代理店は、新規開拓に力を入れていたり、広告費用が多い顧客を露骨に優遇する力学が強く働いている可能性が高く、その条件にうまく当てはまらない場合には、ないがしろにされる可能性は非常に高いといえます。 また、データや口コミを見る場合は、投稿された時期にも注意しましょう。満足度の平均値が高くとも、コロナ以降に業績悪化して退職者が相次いでいるような代理店に満足な対応を期待するのは難しいためです。直近の口コミを中心にネガティブチェックをしておきましょう。

問い合わせ時の依頼文面サンプルと事前準備しておくべき項目

3~6社前後の候補が選定できたら、各代理店のサービスサイトのお問い合わせフォームから、商談依頼をしていきます。 知人やSNSから紹介がある場合には、紹介者経由で商談依頼しても構いません。ただし、紹介の場合には、発注ありきの商談依頼でなく、複数社から選定することが前提であることはあらかじめ伝えておく必要があります。 もし選定の結果、発注できない場合に紹介者の顔を潰してしまうリスクがあるのであれば、問い合わせフォームから商談依頼した方が無難です。(紹介だからといって優遇されるケースは一般的に想定されるほど多くありません。)

問い合わせフォームへの依頼文面サンプル

問い合わせフォームや知人などを介してメールなどで商談を依頼する場合、必要十分な項目を網羅しておくと、追加の確認がなく話がスムーズに進みます。 以下の文面サンプルは、項目を埋めたらそのままコピペして問い合わせできるサンプルになっています。こちらを参考に、必要項目について、あらかじめまとめておきましょう。 なお、問い合わせフォームは企業によって項目が分かれている場合もありますので、適宜アレンジして活用ください。 〇〇様 リスティング広告の新規開始(or 代理店変更)を検討しております。 貴社サービスについてお伺いしたく、ご連絡いただけますと幸いです。 以下に当社の現状や希望について整理しましたのでご参照ください。 ■対象サービス 対象サービス:BtoB向けリード獲得支援サービス サービスサイトURL:https://dl.liskul.com/free ランディングページ:https://dl.liskul.com/article/?id=1000026 ■実施条件(実績) 月額リスティング広告予算:250万円~300万円 実施媒体:Yahoo!広告・Google広告・Facebook広告 成果地点:資料請求 獲得単価:12,000円 (目標は10,000円以下) 開始(代理店変更)希望時期:最短で来月から(応相談) ■課題感・期待すること ・獲得効率を維持したまま、獲得件数を伸ばしたい ・ランディングページのCVRを改善したい ■担当連絡先 LISKUL株式会社  マーケティング部 課長代理 栗鼠 来太郎 電話:03-0000-0000 メールアドレス:XXX@XXXX.co.jp ※メールにてご連絡いただけますと幸いです。 参考:お問い合わせ – ソウルドアウト

選定に向けて事前に整理しておくべき項目

上記依頼フォーマットに沿って、事前に整理しておくべき項目をまとめておきます。 問い合わせ後には、代理店側から連絡がありヒアリングとなるため、必ず聞かれる項目を問い合わせ時に記載しておくと複数の代理店から同じことを聞かれず、スムーズに進みます。

①サービス情報

リスティング広告を実施したい対象のサービスの情報を記載します。 サービスサイトのURLと専用のランディングページがあれば記載しておくと、代理店側のサービスのキャッチアップが捗り、説明の手間が省けます。

②実施条件(実績)

実施条件として、予算・実施媒体・成果地点・獲得単価・開始予定時期を整理しておくと良いでしょう。 もし、現状と目標に乖離がある場合には、その旨補足しておくと説明の手間が省けます。 開始予定時期は、直近過ぎると提案を見送らなければいけないケースもあるため、必須なのか、応相談なのか明確になっていると良いです。

③課題感・期待すること

強い課題感や代理店に特に期待することがあれば、箇条書きで端的にまとめておくと話がスムーズに進みます。 代理店を乗り換える場合には「なぜ乗り換えようとしているのか?」「現在の代理店に感じている不満は何か?」は、必ず聞かれるので、しっかり言語化しておきましょう。新しくリスティング広告を始めるケースで特に思い浮かばない場合には記載しなくても大丈夫です。

④担当者情報

最後に自社とご自身の連絡先を記載します。(問い合わせフォームの必須項目になっていることがほとんどです。) なお、フォームから問い合わせをすると、ほぼ電話がかかってきます。もし、メールでの連絡を希望する場合には、その旨記載しておくと良いでしょう。

代理店選定時に確認したい7つのチェックリスト

各社に問い合わせをした後は、各代理店からの連絡を待ち、代理店選定に入ります。問い合わせ後の具体的なステップはおおむね以下の通りです。 その際、確認したい7つの項目は以下の通りです。

1.ヒアリングは的確か?提案内容はしっくりくるか?

提案内容は重要なチェックポイントです。一般的に代理店の選定は「提案内容」に基づいてなされるべきで、提案品質を左右する「ヒアリング」の質が、最も重要な選定要因となるのが筋です。 しかし、リスティング広告の代理店選定において、ヒアリングや提案の質は他の項目と同列の判断の一要素として捉えるのが妥当です。なぜならば、ヒアリングや提案をしている担当と実際に運用を開始した後の窓口や運用を担当する人が別のケースがあるからです。 確かに、問い合わせ後のヒアリングで、おおよその代理店担当者のレベルがつかめます。レベルの高い代理店担当者は最初のヒアリングが的確で気持ちよく話せます。逆に、答えづらく、ぎこちないヒアリングに出くわすと、その時点で候補から外して連絡を止めたくなります。 また、自社の状況や課題をしっかり吸い上げて、解決策を示す代理店の提案と、予算や時期だけヒアリングして汎用的な提案資料を読み上げるだけの提案は、聞いている側にとっては全く違ったものです。 しかし、繰り返しになりますが、このヒアリングと提案をしている担当者が、実際に運用開始後に自社の担当になるとは限らないのです。特に、既存顧客の継続率が低く、恒常的に新規案件を取り続けないと生き残れない代理店ほど、新規営業に特化した部門をつくりエースを配置する傾向があります。 ゆえに、ヒアリングや提案では、ヒトを見るよりも、代理店の企業としての実績や事例や、課題に対する適切な方向性が示されるかを判断基準とすべきです。

2.取り扱い媒体や制作体制・周辺サービスは自社に(近い将来も見据えて)必要十分か?

提案時に、取り使える媒体や制作体制・周辺サービスが自社にとって必要十分かどうかは確認しておくべき項目です。 現時点では、リスティング広告のみできればよかったとしても、効果が改善して予算を増やしていくと新たな媒体や周辺サービスの有無が広告経由での売上拡大のボトルネックになるためです。 事前リサーチでチェック済でも必ず再確認しておきましょう。サイトに媒体のロゴは掲載しているが、ほとんど運用実績が無いケースもあるので注意が必要です。 その代理店が扱っているリスティング広告(Yahoo!・Google)の取り扱い社数と、そのうち、何%程度が他の媒体や周辺サービスを利用しているかを把握しておくと、各媒体や周辺サービスが一定品質で提供されているかの判断軸になります。(どこまで開示してもらえるかは代理店ごとのポリシーにもよります) 具体的には、以下について、該当顧客の数%しか利用していない場合には、その代理店に当該媒体やサービスの品質を期待するのは注意すべきです。

確認しておくべき取り扱い媒体

※別途依頼する目処がついている場合は不要

確認しておくべき制作機能

ランディングページバナー広告動画(Youtube広告実績)

※社内で制作体制がある場合や別途依頼する目処がついている場合は不要

確認しておくべき周辺サービス

Googleタグマネージャー(GTM)Googleアナリティクス

※社内で体制がある場合や別途依頼する目処がついている場合は不要

3.契約内容やサービスレベルに不明点はないか?

当然ながら、契約内容やサービスレベルについて確認しておくことは必須です。 提案時には、課題解決やどれだけ成果が上げられそうか?ということばかりに注目してしまいがちですが、契約内容やサービスレベルに認識相違があると成果を上げる以前につまずいてしまいます。 念の為、提案段階で確認をとっておきましょう。以下に確認しておくべき項目と判断目安を記載しておきますので、参考にしてください。

4.開始~運用におけるスケジュールは明確か?

開始から初動の運用が落ち着くまでのスケジュールと、代理店・広告主双方のToDoが明確になっているかどうかは、しっかり確認しておきましょう。

最低契約期間:3ヶ月~6ヶ月程度が妥当。当初提示内容と大きな乖離があれば3ヶ月で解約できるように調整できるとベスト。中途解約:最低契約期間経過後は1ヶ月~2ヶ月前の告知でいつでも解約できるのが理想。代理店手数料:月額広告予算が30万円以上の場合には外掛け20%が妥当。バナー制作も含む場合は30%でも妥当。30万未満の場合は手数料5万円以内が妥当アカウント開示:広告主への閲覧権限の付与が妥当。完全非開示はリスクありだが、月額30万未満なら他条件との兼ね合いで比較すべき項目。レポート頻度:代理店や予算レンジによって様々。比較すべき項目。月1回未満だと危険。定例報告会:代理店や予算レンジによって様々。比較すべき項目。月1回未満だと危険。請求書払い(掛け払):広告費はクレジットカード払いで手数料のみ請求書の場合に注意。全額請求書払いの代理店も多いSLAの有無(サービスレベル・対応事項の明示):代理店や予算レンジによって様々。比較すべき項目。明確な方がトラブル少ないが融通も効きにくい。バナーなどの制作費:代理店や予算レンジによって様々。比較すべき項目。社内で制作できる場合は不要。契約書:提示内容と相違ないか早めに法務や顧問弁護士のチェックを受けておきたい。

代理店選定がうまく行っても、掲載開始から初動の運用でバタつくと信頼を失い双方が大きく疲弊する事態に陥って大きなストレスを抱えることになります。また、ToDoやスケジュール管理への意識や感覚が異なると、その後の関係性も悪くなりがちです。 一般に、運用開始までのスケジュールは余裕を持って進めると1ヶ月半程度、最短で少し無理して3週間が目安です。あまり短期でスケジュールを切ると、設定の一部を簡易化して進めざるを得ないなど、成果にしわ寄せが来るので、余裕を持ったスケジュールで進めるのが無難です。 また、広告主側の対応や社内確認に時間がかかる場合には、それらを踏まえたスケジュールになっているか確認が必要です。 ちなみに、掲載開始までのスケジュールが遅延する主な要因は以下の通りです。広告主側の担当者も必要な社内調整も含め、一定の工数を確保しておく必要があります。

スケジュール遅延の主な要因

GTMやCV計測・リマーケティング広告のタグの設置の遅延広告効果測定ツールやGoogleアナリティクスの計測パラメータの発行遅延契約書の確認・締結の遅れキーワードや広告文・リンク先の確認の遅延バナー画像や素材の準備の遅延(代理店移行時)前代理店との解約や移行に伴うトラブル

5.実際に窓口や運用する担当と話せるか?フィーリングは合いそうか?

実際に運用開始後に自社の窓口となる担当や広告アカウントを運用する担当と話しをして、フィーリングが合いそうかどうかは、 必ずチェックしておきたい項目です。リスティング広告の成果は、代理店の企業名ではなく、実際に運用する運用者の力量と広告主との相性で決まるためです。 提案時に同席してもらって話を聞ければベストですが、実施が確定してから担当をアサインするケースも多いため、提案に同席してもらえないケースも多いでしょう。その場合には、提案内容で1~2社に絞った上で、最終確認として実際の窓口となる担当者や運用する担当者と話す機会が持てないか打診してみましょう。 話す機会が持てた場合には、現状の体制・過去の経験/実績・改善の見立てについての質問をしてみると良いでしょう。(質問例を下部にまとめました。) 質問への回答内容自体よりも、誠実に回答してくれるか、納得できるか、話す態度など、自社や担当者とフィットしそうか、フィーリングが合いそうかを意識します。初対面なのでいきなり相性ピッタリだ!と感じるケースはなかなか無いかもしれません。 しかし、もし、合わなそうだなと感じたら、そのまま進めず、担当者の変更を打診、無理であれば別の代理店候補を検討しましょう。担当者への違和感を飲み込んだまま進めると、失敗のリスクが大きくなってしまいます。

現状の体制についての質問

広告主担当との連絡窓口と、運用者は同じ担当か?分業しているか?運用者が担当している社数/アカウント数はどの程度か?

上記の質問に対して、理想的な回答例は特にありません。分業体制でも1人完結でもメリットデメリットあり一概にどちらが良いとはいえません。担当している社数についても、1社ごとの予算や難易度がマチマチですので、何社が妥当、というものは特にありません。 この質問で確認したいのは、ごまかさず真摯に回答してくれているか?現場の担当者が現状の体制について納得の上、活躍できていそうか?です。回答に対して「大変ではないですか?」「残業が多くなったりしますか?」などの深堀りの質問をして、言いよどむようだと黄色信号です。ネガな回答でも明るく正直な印象であれば、さほど気にすることはありません。

過去の経験・実績についての質問

リスティング広告運用経験は何年程度か?過去、自身が運用して、最も成果を出せたケースにおける課題と施策について説明できるか?類似の業種や業態での運用経験はあるか?特徴と成果につながるポイントを説明できるか?

これらの質問も、理想的な回答があるわけではありません。運用経験についても、3ヶ月~6ヶ月でバリバリ成果を出せるようになる人もいれば、3年やっても冴えない人もいます。(3ヶ月未満はさすがにリスクが高いです。)見るべきは、ごまかそうとしないか、です。 また、過去の運用実績や類似業種での実績については、結果ではなくプロセスをしっかり説明できるか、を確認します。 「類似業種で資料請求数を3倍にした実績があります!」と言われたら、どういう課題があって、どういう施策で3倍にしたのかを追加で質問し、説明できるかを見極めます。もちろん別の広告主の課題や施策を具体的に外部に話すような担当者は論外ですが、優秀な運用者は、抽象度を上げて、本質的にはこういうことをした、という話ができます。 説明に論理がない運用者は「たまたま成果が出ただけ」の可能性が高く、再現性が期待できません。

改善の見立てについての質問

(自社のアカウントやレポートをざっと見てもらい)効果を改善する余地がありそうか?現状の課題はどこにあると考えるか?提案資料に記載されていた施策で、実はあまり効果がなさそうだと思う施策はどれか?

成果を出す上で、運用者が現状の課題と改善策をどのように見立てているか?は大きなカギを握っています。また仮に、運用者の見立てが正しくとも、広告主の担当と大きな見解の相違があり、コミュニケーションを通じても合意できなければ、実行に移せず双方にとって大きなストレスになり、成果も出ません。 この質問においても、改善の余地が大きいか、課題や施策自体が正しいか、について、理想的な回答例があるわけではありません。パートナーとして伴走する広告主の担当者自身が、運用者の見解や説明を聞いていて、納得できるかどうか、納得できない場合にツッコミを入れて、しっかりディスカッションできる相手なのかを見極めることが大切です。 優秀な運用者であればあるほど、課題や解決策の「引き出し」が多く、課題や解決策に対して自分なりの見解を説得力を持って語ることができるはずです。

6.決定前に、上長(役職者)とあいさつできるか?

決定前に、窓口となる代理店担当者の上長(役職者)と、あいさつして接点を持てるかどうかは、見落とされがちな選定要因です。 担当者の上長とコミュニケーションラインがあることで回避できるリスクは、想像以上に多いです。例えば、緊急時に窓口担当者に連絡がつかない場合、上長に連絡して、別の担当に一次対応してもらう、など対応の選択肢が大きく変わります。 そもそも、決定前に、要望しても役職者と話もさせてもらえない代理店の場合、自社が代理店にとって、あまり重要でない予算レンジであるなど、あまり重要な顧客でない可能性があります。代理店からの自社の評価を推し量る上でも、役職者との面会は決定前に必ず要望しておきましょう。

7.自社/自分自身はこの代理店にとって良い広告主/担当者であれそうか?

最後に、自社や広告主担当者自身についても触れておきます。 「広告主担当者と代理店担当者の相性」が、成果を決める最重要ポイントであることは再三述べてきました。相性、というからには、広告主担当者側の価値観やスタンスも成果を出せるかどうかに大きく関わってきます。 リスティング広告の代理店を活用して、大きく業績を伸ばしている広告主に共通することは、とにかく「代理店の扱いが上手い」ことです。 業者とみなして、一方的に要求をつきつけるのではなく、ビジネスパートナーとして信頼し、必要な情報を提供し、上手にコミュニケーションを取れる広告主担当者は、どんな代理店と取引しても、一定の成果を出せると感じます。 リスティング広告の代理店を選ぶ、という視点だけでなく、リスティング広告の代理店から「選ばれる」という視点も持ちながら選定に臨めると良い結果につながります。

まとめ

リスティング広告代理店を選ぶ上で、最も重要なことは「広告主担当者と代理店担当者の相性」です。うまくフィットして、リスティング広告経由で事業売上が、短期間で何倍にも成長するケースをこれまで数多く見てきました。 しかし、相性を見極める以前に、広告主がリスティング広告に詳しくないことを利用して、不当に利益を得ようとする代理店に捕まらないようにする必要があります。 また、業界特有の手数料制度による、経済的な力学から、現在の月額予算によって、大手・中堅・中小といった代理店の棲み分けも進んでいます。特定業種に特化した代理店や、リスティング広告以外の強みを持った代理店など、様々な特徴を持った代理店も増えてきています。これらの業界の構造を理解することで、よりよい選択肢から選ぶことができるようになります。 本記事のチェックポイントと照らし合わせることで、地雷を避け、フィットする代理店を選ぶ確率は大きく高まります。本記事が、自社にとって理想的な代理店を選ぶ手助けになれば、これ以上の喜びはありません。 【無料Ebook】リスティング広告で成果を出すための全手順

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