現在、定期的にセミナーを実施しております弊社も、開催当初はどのようにしていいのか分からず、かなり苦労をしました。しかし、現在では、ご参加いただいた9割以上の方から「非常に満足」というアンケート評価(5段階中5)をいただくまでになりました。 今回は実際に開催していて気がついた点や特に注意しなくてはならないことなど、実体験に基づき、かゆいところに手が届くようなコツをお伝えします。

セミナーを成功させる鍵!

ずばり、セミナー告知をするための「リスト」です。 これをどのぐらい持っているのかを把握することからスタートしましょう。自社の営業マンが持っている名刺や過去の取引先などがこれらの対象となります。これらを元にどのようなセミナーを開催するのかを決めて行きます。 弊社の場合には、広告代理店様の事業支援をさせていただくケースも多いため、現場で実務を行っている方はもちろんのこと、経営者や事業部長など役職のある名刺があることが分かりました。そこから、「現場担当者向け、実践ですぐに使えるノウハウ的な内容」と「経営者向け、事業を拡大していくための内容」と、セミナーを大きく2種類にわけて実施することにしました。

セミナーを成功させる鍵!魅力的なセミナーをプランニングする 7つのポイント1.セミナータイトル2.セミナーの内容/参加するメリット3.定員数4.予算と価格5.会場6.日程と時間7.アジェンダセミナーの集客方法の3つのポイント「申込率」向上のポイント「来場率」向上のポイント競合フィルタで参加者をふるいにかけるセミナー当日で注意すべき3つのポイント最後に

魅力的なセミナーをプランニングする 7つのポイント

1.セミナータイトル

前述の記載通り、リストからどのようなセミナーを開催するのかを考えていきます。 セミナーのテーマが明確に伝わり、ターゲットが「まさに自分のことだ」と感じるものにすることがポイントです。具体的な数字や「売上につながる」「事業を成長させる」など訴求ポイントを明確にしましょう。 例えば、経営者向けセミナーで設定したタイトルとポイントを以下に記載いたしますので、ご参考ください。 【セミナータイトル】 リスティング広告事業で収益をあげるための4つのルール ~なぜ、あの代理店は儲かっているのか!?~ 【ポイント】 ・「なにでどうするのか」というのを明確にし、参加者が迷わないようにした。また「収益をあげる」とすることで経営者に響く文言を使用した ・4つという「具体的な数字」を入れ、参加者に全体のイメージが持たせた。また数も4つと多くしないことで、4つなら自分でもできるかもとハードルを下げる役割を持たせた ・サブタイトルは誰もが気になる引きの文句を入れることで参加者のイメージを膨らませ、「ぜひ聞きたい」という動機付けを行った

2.セミナーの内容/参加するメリット

タイトルで興味を抱いた方が次にみる箇所となります。 このときに具体的にどのようなことを伝えるセミナーなのかを明確にします。明確にすることで、参加したい人が本当に自分にあったものなのかを判断することができます。そうすることで参加者の問題意識やレベル感を揃えることができ、参加後の満足度向上へつながります。また内容を詰め込み過ぎると目的が分散し、満足度へ影響します。 またセミナーの内容だけでなく、参加するメリットを加えます。セミナーに参加したあとでどのようになるのかが具体的になり、参加者のモチベーションを引き上げる効果があります。 タイトルと同様に、弊社経営者向けセミナーの際に使用したセミナーの内容/参加するメリットとそれぞれのポイントを以下に記載いたしますので、ご参考下さい。 【セミナー内容】 ・どうしてリスティング広告は、売れるのに儲からないのか? ・事業成長過程に、どの代理店にも共通して訪れる「踊り場」とは? ・数々の広告代理店を見てきて分かった、3パターンの売上成長曲線 ・リスティング広告事業における「最適な営業利益率」とはどのぐらいか? ・自社の売上規模に応じた、最適な運用担当者の人数の考え方とは?  他 【ポイント】 ・話す内容のレジュメを載せるのではなく、特に参加者が聞きたくなる内容を選択して記載した ・それぞれのコンテンツのタイトルもセミナータイトルと同様に参加者の興味をそそる内容にした ・「他」をつけることで、上記以外にもまだまだ興味のある内容があるのではないかという期待感を持たせた 【参加するメリット】 ・なぜ、自社のリスティング広告事業が儲からないのか? その原因を明確にすることができます ・大手ネット専業代理店を中心に、数々の広告代理店に携わって導き出された、薄利なリスティング広告で収益を残すための方法論を、具体的に知ることができます 【ポイント】 ・どのようなことができるようになる、学ぶことができるのかを具体的に記載することでセミナー内容が過大になってないことを示した ・具体的な改善策を知ることができる根拠を示し、参加者へ安心感を与えるようにした

3.定員数

自社で運営を行うことができる人数を定員とします。 人数が多くなれば当日にかかるリソースも多くなり、人員の確保などの手間と場合によっては費用が発生します。また前述で記載した通り、参加者の目的が分散し、満足度へ影響します。 集客可能なリスト、コストなどを加味して、定員を決定します。またチラシやホームページに記載する際には「限定●●名」と表記します。こうすることで参加に対するモチベーションを高める効果があり、申込率も向上します。

4.予算と価格

予算については実際にかかると想定される費用については洗い出しをしておく必要があります。 しかし、定員数を大規模にしなければほぼ予算なしで行えるケースのほうが多いのではないかと考えられます。 会場→自社会議室 人員→社内スタッフ 集客→ハウスリスト、SNS 印刷→自社のプリンター しかし、例えば定員数が会議室よりも多い場合や社内スタッフのリソースの確保ができない場合、また外部講師を招き入れる場合などには、費用が発生してしまいます。 次に価格になります。まず大きくわけて無料か有料かの2択となりますが、これは「開催の目的」「対象ターゲットの立場」「セミナー・説明会後の進め方」に合わせて設定するのが良いと考えております。 例えば、対象ターゲットが経営者向けのものであれば決済も一存で決めることができます。その際にはできる限りモチベーションが高い方を集客したほうがその後の商談など開催の目的にもつながりやすくなりますので、少額でもいいので有料にしたほうがよいといえるでしょう。

5.会場

開催する目的と内容などに合わせて自社会議室、イベントホール、貸し会議室などを適切な会場を選択してください。そのため、こちらについても会場のリストを持っておくと便利です。 できる限り慣れたところで開催するほうが良いですが、初めて使用する会場の場合は必ず下見を充分にしてください。以下に注意すべき点をまとめましたので、こちらもご参考ください。 ・会場までの地図がホームページと異なっている、または分かりにくい ・エレベータが大人数に対応しておらず、出入りが不便 ・エアコンの風のあたり方がまちまちなため、寒い箇所と暑い箇所ができてしまう ・トイレ数が少ないため休憩時間が延長する ・隣との壁が薄いため、音がうるさく話し声が聞こえづらい ・スライドを映す場所がない、またはスライドが見えにくい ・照明の調整が一括になっており、部分的な調整ができない ・テーブルが小さく、座るとキツキツになってしまう ・見取り図になかった柱や出っ張りがある できる限りコストは抑えたいところですが、安さだけで選んでしまうと思わぬ落とし穴がありますので、ご注意下さい。

6.日程と時間

会場と同じく目的や内容などは大事ですが、参加者視点を考慮してください。会場を外部で用意する際には準備の時間や片付けの時間も考慮し、開始時間と終了時間を決定してください。以下に平日開催と休日開催のポイントをそれぞれまとめましたので、ご参考下さい。 【平日開催のポイント】 ・アクセスしやすい場所を選ぶ ・会議が多い傾向にある月曜日や終わりとなる金曜日の夜、業務過多となる月末月初は避ける 【メリット】 ・就業時間内の業務として参加できる 【デメリット】 ・急なアポイントが入った際にはキャンセルになる可能性が高い ・上司からの指示で参加する場合は優先度が低くなり、ドタキャンや遅刻などが増える 【休日開催のポイント】 ・休日でも参加したいと思うようなコンテンツを用意する ・人員を社内スタッフからアテンドする場合には調整が必要 【メリット】 ・長時間のコンテンツでも参加しやすい ・遠方からも参加しやすい 【デメリット】 ・会社の休日出勤の有無により参加がしやすさが変わる

7.アジェンダ

大学の講義が90分であるように、人の集中力は長くとも90分程度しか持ちません。 弊社では1時間毎の10分程度の休憩を入れるようにしております。また、平日開催の際には参加者がその休憩中にメールチェックや通常業務などを行えるように考慮しております。 注意点としては時間いっぱいにコンテンツを盛り込むのではなく、多少余裕を持たせておきましょう。時間を越えてしまうと参加者の次の予定に影響するため、コンテンツが良くても満足度が下がりますし、外部会場で行う場合には追加料金が発生してしまうこともあります。 そのため、アジェンダを作成する際には時間調整ができるポイントを設けておきましょう。これは想定よりも早く進んで時間が余りそうな場合には延長するコンテンツや逆に時間が押している場合には削るコンテンツを予め決めておくというものです。そうすることで当日に焦らず運営をすることができます。 また演習やワークを実施する場合には気持ち短めに設定します。延長するのは簡単ですが、参加者は伝えた時間でワークを行うようにダンドリを組みますので、短くするのは難しくなります。ただ、設定した時間が長いと時間を余らせて手持ちぶさたになるのを避けるためです。

セミナーの集客方法の3つのポイント

まずお伝えしたいのは、集客のゴールは申し込みをしてもらうことではありません。 申し込みしてもらった方々に会場まで来ていただくことがゴールです。 このことを踏まえると以下のような式が成り立ちます。 この式を元にそれぞれのポイントをおさえていきますが、告知については前述の通り、ハウスリストをメインに告知を行います。そのため、日頃から意識的にリスト作成を行うようにして下さい。基本的なことですが、実施コンテンツにあった参加者を集めることで、満足度も向上します。 逆にここで対象者とコンテンツのズレが生じてしまうと満足度が下がる要因となりますので、プランニングした内容に合わせた人を対象に告知しましょう。 もし、目標来場者数に達しない場合には予算とのバランスにもよりますが、セミナー告知サイトや広告出稿なども検討して下さい。それではポイントの開設を行っていきます。

「申込率」向上のポイント

まず、申し上げたいことは、1度の告知メールで諦めないということです。その時送ったメールを全員が見ているとは限りません。内容を段階的に変更して、申し込みいただいてない方へ送るようにしましょう。 「受付開始」「1週間前」「開催間近」「残席わずか」などこちらのステータスが分かるようにし、変化していることを告知相手に伝えることが大事です。 また、担当営業の方がいるならば直接連絡を取るのも重要です。誰しも、全員一斉送信で連絡をもらうよりも個別で連絡してもらえるほうが嬉しいはずです。

「来場率」向上のポイント

来場率を向上させるためには、主に2つのことを実施します。 ひとつは有料の場合には参加費の支払い方法となります。支払い方法は大きく3つあります。 1.カード決済 2.事前振込み 3.当日支払い この順番通りに来場率が高くなります。この理由は簡単です。申し込みをしてからの支払いまでの時間は短いほうがキャンセル率は減り、来場率が高まります。そのため、弊社で実施するセミナーについてはほとんどキャンセルがなく、申し込みいただいた9割以上の方が来場してくださいます。 そしてもうひとつはリマインド連絡になります。 申し込みいただいた方にはセミナーの開催日時を再度連絡しております。これも前述の通り営業担当の方がいる場合には一斉送信だけでなく、直接連絡をしてもらうとより来場率が高まります。申し込むのが早かった方は忘れていたというケースが非常に多いです。 その他、できそうなことを以下に記載しておきますので、ご参考ください。 ・参加特典(訪問無料サービスなど)をつける ・有料だったものの金額を下げる(割引)

競合フィルタで参加者をふるいにかける

ビジネスセミナーを行う際には特に注意をしなければならないのは「競合調査」が目的で参加する企業の除外になります。また、法人向けに実施する予定のセミナーでも一般ユーザーが入っていることもあります。このようなケースが考えられるため、必ず申し込み者をチェックするというプロセスが必要になります。 方法としては申し込みを受領するときにそのまま先着順とするのではなく、申し込み内容を検討するようにしましょう。その際に競合企業だということが分かればお断りの連絡をするようにします。 そのため、告知する段階で「競合企業とみなされた場合はお断りをする可能性がございます。予めご了承下さい。」などの一文を付けておくことをおすすめいたします。

セミナー当日で注意すべき3つのポイント

会場入りのタイミング セミナー当日はできるだけ早めに会場入りし、準備を入念に行います。 規模などにもよりますが、自社会議室であれば開場の1時間前、外部会場を使用する場合には費用のバランスにもよりますが、開場の2時間前には入りたいところです。 設備はもちろんのこと、ホワイトボードなどを使用する場合には必ずインクの残量や文字の大きさなどを参加者の席から確認しましょう。外部会場の場合はインクが切れていることのほうが多いです。 また、席についても単純にスクール形式にするのではなく、コンテンツで話し合いをしてもらうものがあれば話しやすいように設計をするなどしていい環境を作って下さい。 参加者からのクレームで多いのは次の3つになります。 1. スライドの文字が小さくて見えづらかった 2. 会場が寒かった、暑かった 3. 時間通りに進行しない このようなことがないように入念に準備を行って下さい。 撮影(写真/動画) セミナーを行う際には必ず撮影を行いましょう。撮影を行うことで次に同様のセミナーを行うときの資料として使用することができます。撮影は会場の後ろから参加者の顔が写らないように気を配り、できる限り多くの人が参加しているように見せるのがポイントになります。 参加者の了承が取れれば、終了後にインタビューなどを行ってもよいでしょう。ただ、あとからトラブルにならないように作成後には必ず確認を取るなどしましょう。こうすることで次回の申込率アップが見込めます。 アンケート よく「アンケートが書けた方から退出して下さい」という光景が見受けられますが、それでは高い満足度を得ることは難しくなります。まず書く前に感想を周りの方とシェアしてもらうようにしましょう。その後時間があれば何人かには発表してもらいます。 その後、必ずアンケートを書く時間を確保し、記載をしてもらうようにします。コンテンツは良いという前提でこの方法を実施するとアンケート結果がさらに良くなります。 また、アンケートを書く時間を確保することでしっかりとした内容となります。その結果、次回開催の際に参加者の感想をチラシやホームページへ載せることができ、申込率の向上につながります。 セミナー終了後のフォローに セミナーは開催することが目的ではありません。 この後のビジネスへと発展し初めて成功と言えます。そのため基本的にはセミナー後にはアンケート結果を元に営業マンが個別に対応し、顧客化を進めていきます。見込み度合いの高い参加者から順に直接電話をするなどアタックしてください。御礼の連絡は遅くとも翌日中にはするようにしましょう。

最後に

セミナーの開催や運営は、最初のうちは難しく、1~2回でやめてしまうケースが非常に多いです。慣れるためには数をこなしていくしかありませんので、年間計画をたてるなどし、継続的に開催を行うようにしましょう。 そうすることで見込み顧客がいつでもセミナーに参加できるような環境がつくられ、商談をしやすい場と顧客接点が増えていきます。 自社開催であれば費用も抑えられるため、優良顧客開拓の手段としてセミナーを活用していただきたいと思います。 お読みいただき、ありがとうございました!

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