売掛金をスピーディに現金化できるため資金繰りの改善に効果的で、中小企業を中心に人気が高まっています。早ければ当日〜数日以内に現金を入手することが可能です。 一方、ファクタリングには手数料などのデメリットもあり、上手に活用するうえでは正しい知識が欠かせません。 そこで本記事では、中小企業の資金繰りを支える重要な資金調達手段である「ファクタリング」について、基礎知識からデメリットなどのマイナス面・注意点まで詳しく解説します。 「ファクタリングを利用してみたい」 「会社の資金繰りを改善する手段を知っておきたい」 …という方におすすめの内容となっています。 この解説を最後までお読みいただければ、「ファクタリングの基礎知識」はもちろん、あらかじめ知っておくべき注意点まで理解できるようなります。ファクタリングを安易に利用することで生じる弊害にも触れていますので、ファクタリング利用前にご覧ください。 ではさっそく「ファクタリング」について解説しましょう。 優良ファクタリング会社の選び方ポイント8つ!悪質業者の特徴は?【2021年版】

ファクタリングとは?

まずはファクタリングの基礎知識から解説します。

ファクタリングとは?ファクタリングは売掛債権を売却して現金化する資金調達方法借り入れ・融資とファクタリングの違いファクタリングは違法ではない図解でわかるファクタリングの仕組み2社間ファクタリング3社間ファクタリングファクタリングの種類買取型ファクタリング保証型ファクタリングその他ファクタリングの3つのメリットメリット1:売掛金を早期に現金化できるメリット2:返済負担なく資金調達できるメリット3:売掛先の信用力が高ければ審査に通りやすいファクタリングの2つのデメリットデメリット1:ファクタリング会社へ支払う手数料が発生するデメリット2:3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要になるファクタリング手数料の相場ファクタリングを利用すべき状況とは?売掛金の入金まで資金繰りがもたない急な受注増加で大量仕入れや人件費が必要になった融資の審査を待つ余裕がない・審査に通らないファクタリングのやり方 基本的な流れステップ1:ファクタリング会社に問い合わせるステップ2:必要書類を提出して審査を受けるステップ3:契約するおすすめファクタリング会社 7選ファクタリングの注意点ヤミ金融業者を利用しないファクタリングに依存しないまとめ

ファクタリングは売掛債権を売却して現金化する資金調達方法

ファクタリングは、企業の資金調達方法のひとつで「売掛債権を売却して現金化する」手法になります。 売掛債権とは、掛取引(信用取引)で発生した売掛金や受取手形のことです。掛取引の代金が入金されるのは取引の1〜3ヶ月(後払い)となります。 掛取引の代金が入金される期日までにはタイムラグがありますが、入金前のタイミングで第三者であるファクタリング会社へ売掛債権を売却すると、早期に現金化できます。これが、ファクタリングの基本的な手法です。

借り入れ・融資とファクタリングの違い

企業の資金調達手段として一般的なのは「借り入れ・融資」などの借金ですが、ファクタリングと借金はまったく性質の異なるものです。 ファクタリングはすでに所有している売掛債権という企業の資産を売却することで、資金調達する手法です。当然のことながら、金利の負担や返済の義務はありません。 ただし、第三者のファクタリング会社へ売掛債権を売却するため、ファクタリング会社に支払う手数料が発生します。相場は2%〜30%ほどです(詳しくは後ほど「ファクタリング手数料の相場」にて解説します)。

ファクタリングは違法ではない

銀行などからの融資と比較すると認知度の低いファクタリングは、「違法の怪しいやり方なのでは?」「ヤミ金?」と勘違いする方がいるようです。 しかし、ファクタリングは違法ではなく、法的には何の問題もない資金調達法です。ファクタリングの必要性を感じたなら、堂々と実践してまったく問題ありません。 ただし、なかには違法のやり口でファクタリングを持ちかけてくる悪質なヤミ金融業者も存在するため、この点に関しては金融庁が注意を呼びかけています(参考:ファクタリングに関する注意喚起:金融庁)。 このような悪質な業者にだまされることなく、信頼性のあるファクタリング会社(参考:ファクタリング会社厳選29社を比較!種類、選ぶポイントも解説)を利用すれば、ファクタリングは正当な資金調達手段となります。

図解でわかるファクタリングの仕組み

ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つがあります。 簡単にいえば、売掛先企業に知られても良い場合は3社間ファクタリングがおすすめです。手数料が大幅に安くなります。どうしても売掛先企業に知られたくない場合のみ、2社間ファクタリングを検討しましょう。 2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの仕組みは、次のとおりです。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の間でファクタリング契約を交わします。売掛先である取引先企業への通知や承諾は必要ありません。取引先に知られることなく、ファクタリングが可能なのが2社間ファクタリングです。 具体的には、まずファクタリング会社から売掛債権の買取代金が支払われます。その後は、通常通り売掛金の入金期日になって取引先から売掛金が入金されたら、その金額をファクタリングに引き渡します。 前述のとおり、2社間取引は「取引先にファクタリングについて知られたくない」という場合におすすめの方法です。ただしデメリットとして、ファクタリング会社に支払う手数料が高くなります。

3社間ファクタリング

ファクタリングのもう1つのやり方が、3社間ファクタリングです。取引先である売掛先企業の合意を取ったうえで、自社・取引先・ファクタリング会社の3社で行うのが3社間ファクタリングになります。 「取引先にファクタリングが知られてしまう」というデメリットはありますが、ファクタリング会社に支払う手数料が安くなります。というのは、ファクタリング会社から見れば、債務者である売掛先企業と直接取引ができるため、売掛金の未回収リスクが減るからです。 「取引先にファクタリングが知られても問題ない」 「できるだけ手数料を安くしたい」 という場合には、3社間ファクタリングがおすすめです。

ファクタリングの種類

ファクタリングには2つの種類があります。「買取型ファクタリング」と「保証型ファクタリング」です。目的によって使い分けが必要ですので、押さえておきましょう。

買取型ファクタリング

「買取型ファクタリング」は、売掛金を早期に現金化する目的で利用するファクタリングです。 ファクタリングといえば、買取型ファクタリングを指すことが多いので、本記事中でも基本的に「ファクタリング=買取型」として扱います。 ここまでご紹介してきたとおり、ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうファクタリングが、買取型ファクタリングです。

保証型ファクタリング

一方、買取型ではない「保証型ファクタリング」という種類もありますので、知識として覚えておきましょう。 現金の調達を目的とする買取型と違い、保証型ファクタリングでは現金調達は目的としていません。掛取引において、売掛金が回収できなかった場合にファクタリング会社が保証金を支払ってくれるのが保証型ファクタリングです。 イメージとしては、「売掛金の回収に対してかける保険」のようなものです。例えば、以下は三井住友銀行が提供する保証型ファクタリングの概要です。 保証型ファクタリングでは、売掛債権の金額に応じた保証料(1%〜4%程度)をファクタリング会社に支払います。万が一、取引先の倒産などで売掛金を回収できなかった場合には、保証金を受け取ることができます。 建設業界のように取引額の規模が大きなビジネスでの利用が多いのが、保証型ファクタリングとなります。

その他

ファクタリングの種類は、大きく分けると以上のとおり「買取型ファクタリング/保証型ファクタリング」の2つですが、さらに細分化した「●●ファクタリング」という名称のファクタリングが存在します。 代表的なものをまとめると、以下のとおりです。 なお、一般的な中小企業の資金繰り目的で利用されるのは主に「買取型ファクタリング」です。その他のファクタリングについては、利用予定のない方は「そういったものがある」程度の知識があれば十分といえます。

ファクタリングの3つのメリット

ファクタリングには、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは買取型ファクタリングのメリットをご紹介します。

メリット1:売掛金を早期に現金化できる

1つめのメリットは「売掛金を早期に現金化できる」ことです。 ファクタリングの最大のメリットは、資金調達のスピードにあります。ファクタリング会社によっては、最短1日で売掛債権の買取代金を入金してくれるケースもあるほどです。 通常なら数ヶ月待たないと入金されない売掛金を、スピーディに現金化できることは、大きな利点です。 各種書類の提出や審査期間の発生する銀行融資などと比較しても、素早い現金調達が可能なのが、ファクタリングになります。

メリット2:返済負担なく資金調達できる

2つめのメリットは「返済負担なく資金調達できる」ことです。 ファクタリングは、売掛債権という資産を売却する資金調達法ですから、返済の負担はありません。 資金を借り入れしてしまうと、一時的には資金繰りが改善しても、毎月の返済や利息負担が重くのしかかってきます。 借り入れせずにファクタリングによってやり繰りできるのであれば、できるだけファクタリングを利用したほうが、返済負担なく資金繰りを安定させることが可能です。

メリット3:売掛先の信用力が高ければ審査に通りやすい

3つめのメリットは「売掛先の信用力が高ければ審査に通りやすい」ことです。 例えば、銀行融資の審査では、審査の対象となるのは自社の返済能力や信用度です。残念ながら財務状況が悪く、審査に落ちてしまうケースもあります。 一方、ファクタリングで重視されるのは、自社ではなく売掛先の取引先企業の信用度です。たとえ自社の信用度が低くても、売掛先の信用度が高ければ、ファクタリングの審査を通過できる可能性は高くなります。 ファクタリング以外の資金調達が信用力の面で難しい企業でも、ファクタリングなら資金調達できる点は、ファクタリングならではメリットといえるでしょう。

ファクタリングの2つのデメリット

一方、ファクタリングにはマイナス面もあります。2つのデメリットを解説しましょう。

デメリット1:ファクタリング会社へ支払う手数料が発生する

1つめのデメリットは「ファクタリング会社へ支払う手数料が発生する」ことです。 手数料について詳しくは次の章で触れますが、基本的には銀行融資を受ける金利よりも高い手数料が発生します。 ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクなどを背負うので、手数料が発生するのは当然ではありますが、安易にファクタリングに頼れば、逆に資金繰りの悪化を招くという問題があります。

デメリット2:3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要になる

2つめのデメリットは「3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要になる」ことです。 ファクタリング以外の資金調達手段では、基本的には取引先に知られることはありません。しかし、3社間ファクタリングとなれば、売掛先の取引先企業の承諾が必要になります。 例えば「資金繰りが悪化していることがバレるのは絶対にまずい」というケースでは、手数料が割高になる2社間ファクタリングを選ぶか、ファクタリングの利用自体、慎重にならざるを得ないでしょう。

ファクタリング手数料の相場

ここで、ファクタリング手数料の相場をまとめておきましょう。 ▼ファクタリング手数料の相場 ご覧いただくとわかるとおり、2社間ファクタリングのほうが3社間ファクタリングよりも、大幅に割高の手数料となります。 特別な事情があるケースを除いては、基本的に3社間ファクタリングを目指すことをおすすめします。そのうえで、どうしても3社間では難しい場合のみ、2社間を検討するようにしましょう。

ファクタリングを利用すべき状況とは?

ここまでファクタリングの概要を解説してきましたが、ファクタリングとはどんなときに利用すべきなのでしょうか。3つのケースをご紹介します。

売掛金の入金まで資金繰りがもたない

1つめは「売掛金の入金まで資金繰りがもたない」ケースです。 売上は立っているのに、売掛金の入金までのタイムラグで資金がショートすれば、黒字倒産のリスクがあります。黒字倒産を避けるためには、積極的にファクタリングを活用して、資金繰りを立て直したいところです。 例えば、事業をスタートしたばかりで初期投資がかさんでいる場合や、売上は順調に伸びているけれど手元資金が足りない場合には、ファクタリングが役立ちます。

急な受注増加で大量仕入れや人件費が必要になった

2つめは「急な受注増加で大量仕入れや人件費が必要になった」ケースです。 何らかの突発的な事情により受注が急激に増え、大量仕入や人件費の投入が必要になった場合、手元に資金がないと対応ができません。せっかくの大量受注の機会を逃してしまいます。 そこで、ファクタリングを利用して、仕入れや人件費の費用を確保して対応すれば、大きく売上を伸ばすことができます。 このケースでは「確実な売上につながる」ことが見込めていますので、積極的にファクタリングを駆使して資金調達を行いたいところです。

融資の審査を待つ余裕がない・審査に通らない

3つめは「融資の審査を待つ余裕がない・審査に通らない」ケースです。 とにかく至急現金が必要な状況に陥った場合や、銀行融資の審査に落ちてしまった場合など、資金調達の緊急性が高いケースにおいて、ファクタリングが救いの道筋となることがあります。 ファクタリングはスピーディに現金化が可能であり、審査は主に自社ではなく売掛先の企業です。融資が難しい状況でも諦めず、ファクタリングでの資金調達を目指しましょう。

ファクタリングのやり方 基本的な流れ

ファクタリングを実際に行うやり方をご紹介します。以下の3ステップが基本的な流れです。

ステップ1:ファクタリング会社に問い合わせる

まずは依頼したいファクタリング会社に問い合わせて、ファクタリングを希望する旨を伝えます。 電話・メール・来社などの方法で、希望金額や調達希望日などの具体的な内容を打ち合わせます。 ファクタリング会社側からは、ファクタリングに関する説明があるので、不明な点があれば質問してクリアにしましょう。納得できれば、次のステップに進みます。

ステップ2:必要書類を提出して審査を受ける

ファクタリング会社から指定された必要書類を提出します。 ▼必要書類の例 提出方法は、メール・FAX・郵送などの方法から選べることがほとんどです。 資料提出から最短30分以内に、ファクタリング会社から買取金額の提示があります。 ただし、売却したい売掛債権の内容によっては、審査に時間がかかったり追加資料の提出が必要になるケースもあります。

ステップ3:契約する

提示された買取金額に納得できれば、契約のフェーズに移ります。初回の契約は、ファクタリング会社担当者に来社してもらうか、ファクタリング会社に訪問するかして行うケースが多くなっています。なかには、郵送による手続きが可能なケースもあります。 契約が完了すると、当日〜翌日までに買取代金が口座に振り込まれるのが一般的です。

おすすめファクタリング会社 7選

具体的にファクタリングを検討したい方へ、おすすめのファクタリング会社をまとめました。参考にご利用ください。 おすすめのファクタリング会社について詳しくは「ファクタリング会社厳選29社を比較!種類、選ぶポイントも解説」にて解説しています。あわせてご覧ください。

ファクタリングの注意点

最後に、ファクタリングの注意点を2つ、お伝えします。

ヤミ金融業者を利用しない

1つめの注意点は「ヤミ金融業者を利用しない」です。 ファクタリングとは名ばかりで、実態はファクタリングを装ったヤミ金融業者という悪質なケースがありますので、十分に注意してください。 ファクタリングをよそったヤミ金融である可能性が高いケースとしては、以下が挙げられます。 詳しくは「【お知らせ】[注意喚起]ファクタリングを装ったヤミ金融や、SNSを通じた「個人間融資」を装ったヤミ金融にご注意!! | 日本貸金業協会」にて注意喚起されています。ファクタリングを利用する前に、目を通しておきましょう。

ファクタリングに依存しない

2つめの注意点は「ファクタリングに依存しない」です。 ファクタリングは資金繰りのピンチを救う救世主ともなり得る有効な資金調達手段ですが、一方で手数料の高さというデメリットを抱えていることは否めません。 一度ファクタリングを利用すると、その便利さゆえに、何度もファクタリングを利用してしまい、ファクタリングが常態化してしまうことがあります。 しかし、長期的な視点で見れば、ファクタリングを利用せずとも資金繰りが安定するように努力する必要があります。ファクタリングはあくまでも緊急措置としてとらえ、ファクタリングで窮地を脱したら、ファクタリングに依存しない資金繰りを心掛けましょう。

まとめ

ファクタリングとは、売掛債権を売却して現金化する資金調達方法のことです。売掛債権という資産を売却するため、借り入れ・融資とは異なり、利息も返済義務もありません。 売掛債権の売却先となるファクタリング会社には、一定の手数料の支払いが生じます。その金額は売掛債権の2%〜30%ほどです。 ファクタリングには、売掛先企業に知らせずに自社とファクタリング会社のみで行う2社間ファクタリングと、売掛先企業の承諾を得て自社・ファクタリング会社・売掛先企業で行う3社間ファクタリングがあります。 ファクタリングのメリットは以下のとおりです。 ファクタリングのデメリットは以下のとおりです。 以下のケースでは、ファクタリングの活用がおすすめです。 ファクタリングのやり方の基本的な流れは以下のとおりです。 ファクタリングの注意点としては、ヤミ金融業者を利用しないこと・ファクタリングに依存しないことにご留意ください。 怪しいファクタリング業者にだまされないために役立つ、ファクタリング会社59社を網羅したパーフェクトガイドをご用意しました。ぜひお役立てください。

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