近年では、機械学習を中心としたソフトウェアによる画質の向上と、老舗のカメラメーカーまたはレンズメーカーと手を組み、スマホカメラを共同開発または採用することによる画質の向上がトレンドです。 いち早くカメラメーカーとコラボしたのが中国のファーウェイでした。それまでもファーウェイスマホのコスパは高く評価されていましたが、カメラの評価はイマイチ。ライカとコラボしたことによって評価が一変し、現在では、シャープやシャオミといったスマホメーカーがライカとコラボして高い評価を得ています。 ソニーはカメラ専用機向けのレンズで既に手を組んでいたドイツの名門カールツァイスとスマホ分野で提携することを発表し、2020年発売のXperia 1 IIのカメラからT*コーティングを施したツァイスレンズの搭載を開始しています。 こういった背景もあってスマホカメラは物凄いスピードでカメラ専用機との差を埋めていますが、今も大きな差をつけられているのがズームです。 Xperia 1シリーズの第4世代となるXperia 1 IVは、カメラ専用機と同じ構造のズームレンズを搭載することで、大きな差を埋めようとしています。 結果から言えば、スマホカメラのズーム性能を一変させるようなゲームチェンジャーにはなっていません。 ※この記事はすべて税込表記です。 端末提供:ドコモ そんなスマホのボディに、重く厚いカメラと同じ構造の望遠レンズを搭載するのは困難と言われ続けていましたが、ソニーはボディの大きさをまったく変えることなく、カメラ専用機と同じ構造の望遠レンズを搭載することに成功しています。 重さは185g。200g前後の機種が多い最上位モデルのなかでは軽い部類です。 幅は片手でもしっかり握れる71mmですが、画面は超縦長なので、片手操作では画面全体の5割ぐらいの範囲にしか指が届きません。 画面上部のボタンを操作するには、両手操作か片手操作モードを頻繁に利用する必要がありました。 フラットフレームをガラスでサンドイッチしたデザインに変わりはありません。前世代のXperia 1 IIIで好評だったツヤ消しで指紋が目立ちにくい背面のフロスト処理も継続採用されています。 左側面には2回押すとすぐにカメラアプリを起動して半押しによるフォーカスやシャッターにもなる専用キーを搭載。 アプリの割り当てを変更できないことから「いらない」と批判の声も大きかったGoogleアシスタント専用キーは今回から廃止になりました。 イヤホン端子は今作でもトップに配置されており、ボトムにはUSB-C端子とピン無しでSIMカードやmicroSDカードを入れ替えできるスロットを搭載しています。 カラーは、高級感と落ち着いた雰囲気のある「ブラック」、涼しげでクールな印象の「アイスホワイト」、Xperiaを象徴するシンボリックな「パープル」の3色ラインナップ。 今回レビューで使用したパープルは、落ち着いたダークカラーでツヤ消しのフロストガラスと相性の良い色合いです。 CPUの性能を数値化するベンチマークをGeekbench 5で計測したところ、シングルコアは平均1100、マルチコアは平均3019記録。前世代のXperia 1 IIIから大きく進化していません。 プロセッサそのものの性能は向上しているので、発熱や電池持ち対策でクロックダウンしているのでしょうか。 快適なゲーム体験に関わる描画性能を3D Markで計測したところ、瞬発的な性能を測れるWild Life Extremeは平均2261を記録。前世代のXperia 1 IIIと比べて、最大1.5倍アップと描画性能は大幅に向上しています。 Snapdragon 8 Gen 1は、発熱問題が指摘されているチップセットのため、瞬発的な性能ではなく長時間使用時の性能も気になるところ。 20回連続で負荷を与え続けるWild Life Extreme Stress Testで計測すると、ベストが2,372、ローが1166を記録。 発熱によって半分程度スコアダウンしたことになります。また温度上昇は11.3℃でした。いずれも平均です。 バッテリーはXperia史上最大の5,000mAhを搭載。電池持ちを検証するために、画面の明るさを最大にして、ゲームおよびスマホの設定でリフレッシュレートを最大に引き上げてApexモバイルをプレイしたところ1時間のプレイで約27%減少。 YouTubeを1時間再生すると約14%減少しました。 また、カメラの画質を検証するために朝10時過ぎに家を出て、撮影スポットやルート検索、Twitterやインスタなどソーシャルメディアの確認をしながら500枚以上の写真を撮影するなど、ヘビーユースすると、19時30分ごろに電池が切れました。 電池持ちが悪いと評価されていた前世代のXperia 1 III(個人的に電池持ちが悪いとは感じず)に比べると、明らかに電池持ちが大幅向上しています。
前モデル「Xperia 1 Ⅲ」との比較
昨年発売されたXperia 1 IIIと最新モデルのXperia 1 IVを比較して、どれくらい進化したのか確認します。 チップセットはベンチマークスコアを計測したとおり、CPUの性能は大きく変わらないもののGPUの性能は最大1.5倍アップしました。そのためゲームをさらに快適にプレイできます。 ディスプレイは具体的なスペックが公開されてないようですが、画面の明るさが50%向上したとのこと。詳しくは後述しますが、日差しの強い屋外でも画面が見やすく改善されています。 メインカメラはカメラ専用機と同じ構造の光学望遠レンズを搭載。 前世代では2.9倍と4.4倍のみ光学ズームを利用できましたが、Xperia 1 IVでは、3.5倍〜5.2倍のズームレンジであれば劣化なく撮影できます。より遠くのものを光学ズームで撮影できるようになったので、解像感を保ちつつ望遠ならではの魅力である圧縮効果も期待できます。 すべてのメインカメラに120fps高速読み出しに対応したイメージセンサーを搭載することでオートフォーカスとトラッキング性能が向上。4K 120fps撮影も可能にしています。 需要が増える自撮りを綺麗に撮影できるようにフロントカメラは12MPの大型化したイメージセンサーを搭載したことで、室内や夜間など暗いシーンでもノイズの少ないクリアな写真が撮影できます。 重さは1g軽量化されたにも関わらず、バッテリー容量は+500mAh増量されました。詳しくは後述しますが、電池持ちは大幅に改善されていて多くの人が納得のいくものになっています。 大きなアップデートの1つがeSIMに対応したこと。他社のバンドを削除するバンドロックも大幅に緩和されたことで、SIMカードとeSIMによるデュアルSIM運用も可能です。 先日、auで大規模な通信障害が発生しましたが、デュアルSIMこそがユーザーが取れる有効な対策です。 iPhone 13やPixel 6 Proと比べても違いは明らかで、Xperia 1 IVの方が屋外でも使いやすいです。 それでもiPhone 13 Proよりは画面が暗く、明るさ自動調節は反応が遅くて暗くしすぎるなど、ストレスを感じることも多々あります。 また、画面の明るさを最大にするには、設定画面から自動調節をオンにして、明るい環境になってようやく最大輝度になる場合がある隠れ仕様です。 これはユーザーに対する明らかな説明不足なので改善すべきでしょう。SamsungのGalaxyスマートフォンのように「明るさを増大」という設定項目を用意して欲しいです。 新機能としては、「リアルタイムHDRドライブ」に対応することで、動画などを見ている時にフレームごとの輝度や階調を動的に解析して、夕陽などの白飛びしやすい明るいシーンもハイライトを調整して色の再現性を最適化。 明るい環境下でもコントラストのはっきりした映像が楽しめます。 Xperia 1 IVで利用できるゲーミング機能・性能 ゲーミング性能は、最新のチップセットを搭載したことによってアップ。Apexモバイルなど負荷が高いゲームをプレイしても性能面に関しては問題なく快適にプレイできます。 ディスプレイはリフレッシュレート最大120Hzによるなめらかな映像でプレイ可能。タッチサンプリングレート240Hzによって俊敏な操作もタップ抜けなく認識してくれます。 ただし、ゲームを開始してから数分で手に伝わるほどの熱が発生します。Apexモバイルでは、ケース未使用で非充電プレイにも関わらず、1時間ほどで充電しながらプレイしているかのような爆熱に。 発熱にともなってベンチマークスコアが示すようにパフォーマンスが半分に低下しますが、ゲーム自体は大きなストレスなくプレイできるもののとにかく熱が気になります。 スマートフォンのカメラはサイズ上、ズーム機能が弱いため、各社とも様々な工夫をしています。 シリーズ初のトリプルカメラを搭載したXperia 1では、焦点距離の違うレンズを切り替えることで擬似的な2倍ズームを実現。Xperia 1 IIは同じスイッチ式を採用しながら2.9倍ズームに変化。 Xperia 1 IIIでは、背面と平行にレンズを伸ばすことで、本体の薄さをキープしながら、さらに近くまでズームできるペリスコープ型を採用しつつ、機械的にレンズを動かすことで焦点距離を変える可変式望遠レンズを搭載。1つの望遠レンズで2.9倍と4.3倍ズームが可能に。 被写体により近づけるようになり、近づける距離の選択肢も増えましたが、いずれもズームを「点」でしか使えないことが欠点で「ズームするよりも自分が動いた方が早い」ことが多くありました。 この欠点を改善したのがカメラと同じ構造の望遠レンズを搭載することで、点でしか使えなかったズームを3.5倍〜5.9倍まで「線」で使えるようになったXperia 1 IVです。 左から等倍→光学3.5倍→光学5.2倍→デジタル15.6倍ズーム。 広角レンズと望遠レンズで色合いが大きく変わることもありました。 上質なデザイン、シリーズ最長クラスの電池持ち、屋外でも見やすいディスプレイ、望遠光学ズームに対応したカメラは19万円のレベルに到達していますが、やはり発熱問題と不安な安定性が付き纏います。 これだけの高額ながら長期のOSアップデートおよびセキュリティアップデートの保証もありません。 端末購入プログラムを使って実質負担金8万円を前提とした2年間レンタルでようやく選択肢になり得ます。 無理に19万円を払うよりも旧機種のXperia 1 IIIやコンパクトなXperia 5 III検討したり、発熱問題の解消が期待される来年まで待つという選択肢も考えた上で購入の検討をオススメします。 9/30まで!auで機種変更すると16,500円割引! iPhone 14シリーズ 予約受付中! そんな方は、無料の診断を利用するのも手段の1つ! モバレコの運用する「モバレコFit」であれば、最短1分の簡単診断で、自分に合ったプランが分かるのでおすすめです。 しかも診断は無料、営業も一切ないため安心して利用できます。 スマホプランに目星がついている方もぜひ一度、活用してみてはいかがでしょうか!