上記画像のように、いつものようにスタンプを送るだけで残高情報が返ってきます。利用開始の手続きも簡単で、みずほ銀行の口座があればすぐに始められます。その際インターネットバンキング「みずほダイレクト」への登録は不要。開始から約1ヶ月、すでに多くの方が利用しています。 その一方で、LINEと連携していることから、「口座情報をLINEに渡しているの?」「情報が漏えいしたらどうなるの?」というセキュリティ面を不安視する声も聞こえてきます。 そこで今回、みずほ銀行の担当者に取材し、サービス開発の経緯や、巷でささやかれているセキュリティに関する疑問について、いろいろ教えてもらいました。 今回お話を伺ったのは、みずほ銀行 個人業務部インキュベーション室に所属する金子慎太郎さんと谷彰彦さんです。 金子:「今注目されている、『FinTech(フィンテック)』という言葉に代表されるような、金融とITを活用した先進的なサービスの企画・開発に取り組んでいます」 ※『FinTech(フィンテック)』・・・『Finance(金融)』と『Technology(技術)』を掛け合わせた造語。例えば、『Apple Pay』のような、金融とITを組み合わせた新たなサービスが近年増えている 金子:「これまでの金融業界は、基本的に自前でサービスを開発して提供してきました。しかし、今はSNSを筆頭に短期間で一気に認知度が高まり、ユーザー数も何千万人に上るサービスが次々と立ち上がる時代です。そのスピード感に付いていけなければ、お客さまの満足度は高まりませんし、お客さまとの長期的なお付き合いもできません。そこで、我々もいろいろな会社と手を組んで、新しいチャレンジができないかと日々模索しています」 ――その中で生まれたサービスの1つが、今回の「LINEでかんたん残高照会サービス」ということでしょうか。 金子:「そうですね。LINEの活用はあくまでインキュベーション室の施策の一つですが、LINEは最近出てきたサービスの中では非常に大きなものなので、みずほの機能と連携して何ができるか検討してきました」 谷:「リリースから最初の4日間で1万人以上の方に利用していただきました。これは当初の想定より多い数字です。またお客さまの反応も、高い利便性に対してポジティブな意見が大勢を占めています。ただ、一部ネガティブな反応もあるので、内容を精査して今後どのように対応していくべきかを検討中です」 ――「ネガティブな反応」というのは、やはりセキュリティ面でしょうか? 谷:「そうですね。特にネット上に書いてある内容の中には、かなり誤認したものが多いので、正しい情報を周知していくことが今後の課題だと感じています」 順調に滑り出した一方で、まだ誤解した意見も多いとのこと。現状どのように誤解されていて、実態はどうなっているのかを明らかにするために、よく耳にする噂についても質問してみました。 ――ネット上では「不正送金されたらどうするのか」「LINEに銀行の口座情報を渡している」という意見があります。 谷:「まず不正送金についてですが、今回のサービスは、我々が以前から提供している『インターネット残高照会』サービスをLINE経由でも始めようという取り組みです。このサービスでは、資金が移動する機能は提供していないので、不正送金のリスクはありません。また、口座情報をLINEさんに渡している、漏えいしたらどうするんだ、といった書き込みも非常に多いのですが、これも誤解です。今回のサービスに必要な情報は、すべてみずほ銀行内で管理しており、LINEさんには提供していません」 ――LINEには口座情報は一切渡していないのですね。 谷:「はい。サービスを提供する際のポリシーとして、LINEさんに限らず、我々が管理すべき情報は我々がコントロールすべきであり、他社のセキュリティにはなるべく依存しない設計とする必要があると考えています。本サービスの情報セキュリティについても当行が管理しており、その他サービスと同様に、当行のセキュリティが破られない限り、口座情報が外部に漏れることはありません」 ――口座情報を渡さずに残高照会サービスを提供する仕組みを伺ってもよろしいでしょうか。 谷:「当行では、LINEさんが法人向けに提供している『LINEビジネスコネクト』というAPIを活用した『ビジネスコネクトサーバ』を保有しています。お客さまから本サービスを利用した残高照会があった際は、まずビジネスコネクトサーバへリクエストを送り、そこでLINEユーザーの識別情報と口座情報等を紐付けて、『インターネット残高照会システム』のデータベースに問い合わせた結果を返しています(下記イラスト参照)。LINE上に残るのは残高と明細の数字のみであるため、そこから口座情報が特定されることはありません」 不正送金のリスクや口座情報提供の事実はないと、谷さんはきっぱり話します。 谷:「アカウントの乗っ取り被害に遭っていらっしゃる方の大半は、LINEのセキュリティ設定が疎かになっているのではないか、というのが我々の認識です。そこで当行でも、本サービスの初回利用登録時に、お客さまに『①PINコードの設定』『②他の端末からのログイン許可をオフにする』『③パスコードロックの設定』を確認していただいています。これらを設定すれば、アカウントの乗っ取り被害は限りなくゼロに近い確率で防げると考えます」 ――ここまで設定していたとしても、もしスマホを紛失した場合はどうすればよいでしょうか? ――ユーザーの落ち度ではなく、LINEから情報が漏えいするリスクについてはどのようにお考えですか。 谷:「LINEさんとは、本サービスを企画した約2年前から継続的にやり取りをしています。その過程で、当行としても十分に時間をかけて、LINEさんのセキュリティの評価をさせていただきました。詳しい内容はお話しできませんが、LINEさんから情報が漏えいする可能性は、もちろんゼロというのはインターネットの世界で言い切ることは難しいですが、限りなく低いと判断しています」 アカウント乗っ取りや情報漏えいの問題については当然みずほ銀行としても課題だったはずです。それでもリリースに至ったのは、ユーザーへの注意喚起やLINE社とのやりとりでセキュリティ評価をキチンと行った裏付けがあるからでしょう。谷さんの言葉からは、打てる対策はきちんと打っている、という自負が伺えました。 谷:「いろいろやっています。公式アカウントのタイムラインなどを見ていただければわかりますが、今回は若年層の方が主なターゲットなので、堅苦しくならないように気を付けています。その一環でこんな動画も作ってみました(笑)」※モバレコ編集部追記:2022/09月現在、動画は視聴不可になっています。銀行のイメージにはないとてもキャッチーな親しみやすい動画で紹介されていました。 ――確かに、今までの銀行の堅いイメージを覆すような動画ですね(笑) 金子:「銀行には、お堅いとか敷居が高いイメージがあると思います。しかし、本来金融も生活に密着しているという意味では今のLINEと同じです。今回の残高照会サービスで初めてネット金融サービスを利用したという方も多いと思うので、利便性を体感いただいた方には、『みずほダイレクト』など、更に充実した機能を持つサービスも使ってみていただけると嬉しいですね」 ――今後LINEで利用できる機能を拡充する予定はありますか? ――確かに、口座情報を利用しなくてもユーザーに提供できるサービスはいろいろありそうですね。 金子:「残高照会は数ある金融サービスの一つに過ぎません。お客さまの利便性を高めるという観点で、今後もさまざまな活用方法を検討していきます」 普段HPへ覗きに行っている情報がLINEでも見られれば、選択肢も増えてより便利になるでしょう。 また、金子さんと谷さんにお話を伺っていると「便利なサービスを通じて、より銀行を身近に感じてもらいたい」という思いが伝わってきました。インキュベーション室では、他にも感情認識パーソナルロボット「Pepper」の店舗導入や人工知能の研究にも取り組んでいるそうです。今後生み出される新たなサービスにも期待したいですね。 参照元: みずほ銀行:LINEでかんたん残高照会

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